電車は空いているのに、なぜか「すぐ隣」に座ってくる人がいる
隣に来る人を「トナラー」と呼ぶのは、コロナ禍、人との距離を意識する中で生まれた言葉のようだ。今も、トナラーについては「どうして空いているのに」と思いを明かす人たちがいる。
無意識のうちに“ひとつ空けて”座るように
都内の電車では、座席が空いている場合、今も7人掛けの席にひとつおきに座る人が多い。これもコロナ禍で習慣になったのだろう。人と密にならないよう、もはや無意識のうちにひと座席置いて座っているようだ。もちろん、人が多くなってくればいつしかすべて埋まっていくのだが。「私も、空いているときは他の人の隣ではなく、ひとつ置いて座ります。つい先日、7人掛けの席の端に私、もう片方の端に男性、ふたりしか座っていないことがあったんです。そこへやってきた若い女性が、なぜか私の隣に座った。空いてるんですよ。向かいの座席だって3人しか座ってない。
なのになぜ私の隣? 思わず彼女の横顔を見つめてしまいました。でも彼女はまったく意に介さず、スマホをいじり始めて……」
「この車両に逃げてきた?」と想像したが……
そう言うリサさん(36歳)、最初はその女性が隣の車両で嫌な目に遭い、この車両に逃げてきたのかと思ったそうだ。何か私に救いを求めているのかもしれない、と。ところがそんな様子はまったくない。「結局、何も考えずに座ったとしか思えないんですが、私は不思議でならなかった。今でもやはり他人との距離はコロナ禍以前より気にするようになってしまったから。でも彼女は、完全にコロナ禍前に戻っているんでしょうね。もしかしたらコロナ禍でも気にしなかったのかもしれない。私はあの時期、かなり神経をすり減らしたので、ある意味で、ちょっと羨ましくもありました」
ただ、リサさんのように感じる人も少なくないはずだ。だからいまだにひとつ空けて座る人たちが多いのだろう。
>自分の身の回りにも逆のタイプがいる