人間関係

「おいしくないけど」「どうせ私は…」って嫌味なの?どこかモヤる義母の口癖に隠された事情(2ページ目)

義実家との交流が増えたが、義母のネガティブ発言や失礼な言動が疑問だった。言われた人にしてみれば悪意すら感じる言葉の数々だったが、よくよく観察してみると、意外な背景が見えてきた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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義母は義父のモラハラに苦しんでいた

しばらく様子を見ていると、義母はとにかくネガティブ発言が多いとサトエさんは気づいた。

「ちょっとしたミスを自分の息子に指摘されると『ああ、どうせ私はダメだから。ごめんね』って。長年、そうやって生きてきたんだろうなと思いました。だから私、ことさらに義母にお礼を言ったり褒めたりするようにしたんです。『お義母さんのおかげで助かるわー』とか、義母が片付けがうまいので『子どもたちのおもちゃ、どうやって片づけたらいいですかね』と相談してみたり。そのたびに義母は『私なんて、どうせ何もできないのよ』と言っていましたが、少しずつ変わってきました」

義父は帰宅が遅く、サトエさん一家は週末には家族だけで過ごすようにしているから、あまり義父に会う機会はなかった。だが夫に聞くと、やはり義父母の関係は昔からあまりよくなかったらしい。

「オレが小さいころはオヤジが怒鳴っておふくろが泣く場面をよく見てた。小学校中学年のころかな、やめろよとオヤジにぶつかっていったことがあったな。跳ね飛ばされたけど。でもそれ以来、オレがにらむとオヤジは黙るようになった。そんなこと忘れてたけど、おふくろにはトラウマなのかもしれないねと夫も言ってました」

常に夫に怒鳴られていたら、言いたいことも言えず、自己評価も低くなるはずだとサトエさんは感じた。義母は意図的に皮肉や嫌味を言っているわけではなく、もしかしたら謙遜のつもりで「おいしくないけど」と言っているのかもしれない。

義母は涙ぐんだ

「夫にリクエストしてもらって、義母にシフォンケーキを作ってもらったんです。かつて夫がおいしいと思ったらしいので。そのシフォンケーキは本当においしかったので、うちの子たちも私も心から褒めたんです。すると義母は『たいしておいしくもないわよ』って。お義母さん、これはどこへ出しても恥ずかしくないほどおいしい。だからまたリクエストします、自信をもって作ってくださいねと頼みました。義母は涙ぐんでましたね」

近くにいるのだし、これも縁だと割り切ったサトエさん、どうせなら仲良くやっていこうと腹をくくったとき、義母の弱さが見えてきたという。

「もちろんやたらと頼られても困るので、自立すべきところはしてもらいつつ親しくしていこうと思っています。まずは義母には目標をたくさんもってもらって、ネガティブ発言を減少させなくては」

一家に新しい風を吹き込むことができるのは、義母から見て息子の妻、親しい他人なのかもしれない。
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