単身者の貯蓄額は平均値が941万円、中央値が100万円
一人暮らしの人は、他の人がどれくらい貯めているか、気になるのではないでしょうか。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査【単身世帯調査】」(2023年調査、2024年発表)のデータによると、単身者(一人暮らし)の人の平均貯蓄額は941万円、中央値は100万円(ちなみに昨年は、平均貯蓄額が871万円、中央値が100万円)という結果が出ていました。
※扱っているデータは、正しくは「金融資産保有額」ですが、当記事ではまとめて「貯蓄」と表記します。また、例えば翌月のカード引き落とし代など、日常的に使うために一時的に貯めているお金ではなく、将来のために備えている貯蓄や運用のためのお金をここでは「貯蓄」とします。
「一人暮らしで、みんな1000万円近くも貯めているの?」と、驚いた方も多いのではないでしょうか。
それと同時に、「平均値の941万円には届かないけれど、中央値の100万円だったら、まあ可能かな……」と思った方もいるでしょう。
では、この「平均値」と「中央値」とは、何が違うかご存じでしょうか?
「平均値」よりも「中央値」のほうが、実際の感覚に近いのでは?
平均値より中央値のほうが実感値に近い
「平均値」と「中央値」の違いについて、例を挙げて解説します。一人暮らしの人が10人集まりました。貯蓄の話題が出て、Aさんが1億円、残りの9人(BさんからJさん)が10万円だったとします。
「Aさんの1億円は特別だよね」「まあ、みんな貯蓄は10万円くらいだよね」という雰囲気になりそうですよね。
では、この10人の「平均値」と「中央値」を計算してみましょう。
平均値は、(1億円×1人+10万円×9人)÷10人=1009万円です。つまり、この10人の貯蓄額の平均値は1009万円になるのです。
たった1人、謎の資産家Aさんが1億円を持っている影響力がすさまじく、平均値としては1000万円ほどになってしまったのです。極端に高い数字(または低い数字)があると、それに引っ張られて、平均値が「真ん中」からズレてしまうのですね。
一方、「中央値」は、高いほうと低いほうから順番に数えていき、ちょうど真ん中にある数値です。この友達10人の場合は、「10万円」ですね。「みんな10万円くらい持っている」というほうが実感に近いでしょう。
つまり、「真ん中」を知りたい場合は、「中央値」を見るとよいのです。
では次に最新データから、20代、30代、40代、50代の単身者(一人暮らし)の貯蓄額の「平均値」と「中央値」を、年収別に見ていきましょう(収入はないと答えた人を除きます)。
20代・単身者の平均貯蓄額は?
・年収300万円未満……平均値83万円/中央値5万円・年収300万~500万円未満……平均値199万円/中央値60万円
・年収500万~750万円未満……平均値260万円/中央値200万円
・年収750万~1000万円未満……(回答者10人未満のため除外)
・年収1000万~1200万円未満……(回答者10人未満のため除外)
・年収1200万円以上……(回答者10人未満のため除外)
30代・単身者の平均貯蓄額は?
・年収300万円未満……平均値326万円/中央値14万円・年収300万~500万円未満……平均値523万円/中央値200万円
・年収500万~750万円未満……平均値1468万円/中央値575万円
・年収750万~1000万円未満……(回答者10人未満のため除外)
・年収1000万~1200万円未満……(回答者10人未満のため除外)
・年収1200万円以上……(回答者10人未満のため除外)
40代・単身者の平均貯蓄額は?
・年収300万円未満……平均値206万円/中央値0万円・年収300万~500万円未満……平均値730万円/中央値263万円
・年収500万~750万円未満……平均値1128万円/中央値800万円
・年収750万~1000万円未満……(回答者10人未満のため除外)
・年収1000万~1200万円未満……(回答者10人未満のため除外)
・年収1200万円以上……(回答者10人未満のため除外)
50代・単身者の平均貯蓄額は?
・年収300万円未満……平均値472万円/中央値5万円・年収300万~500万円未満……平均値1056万円/中央値150万円
・年収500万~750万円未満……平均値1753万円/中央値600万円
・年収750万~1000万円未満……平均値3858万円/中央値2140万円
・年収1000万~1200万円未満……(回答者10人未満のため除外)
・年収1200万円以上……(回答者10人未満のため除外)
自分の年齢と年収が同じところの数字は、いかがでしたか?
「平均値」はやや高めな印象ですが、それよりは「中央値」が低めだと感じたでしょう。「中央値」を参考にしてみると、自分の貯蓄の立ち位置について、よくわかると思います。
とはいえ、貯蓄は多ければ多いほどよいわけではありません。
人によって必要なお金は異なりますし、人生にはお金の貯め時、使い時がそれぞれあるもの。あくまでも参考値としてとらえて、ご自分の人生プランにあわせて貯蓄を進めていきたいですね。