相続した不動産がなかなか売れない……。
Q. なかなか売れない不動産を売るためのコツは?
祖父が亡くなった時に不動産を相続しました。その土地を売却したいのですが、野球場の目の前で休日は騒がしく、道幅も狭いのでなかなか売れません。不動産価値がないのでしょうか? 何か売れるコツがあれば知りたいです。(39歳・自営業女性)A. 提案力・問題解決力のある不動産屋さんを見極めましょう!
確かに、不動産の中には売りにくい不動産というものがあります。インターネットや新聞の折り込み広告をしただけでは、なかなか売れません。しかし、売れない不動産はありません。利用価値のない不動産は存在しないことから、その不動産をどのように利用できるのかを模索することが重要となります。つまり、そういった提案力・問題解決力のある不動産屋さんに相談することが大切です。
質問者さんは、「野球場の目の前で休日は騒がしいという点」と「道幅が狭い点」をなかなか売れない理由として挙げられており、確かにそうなのでしょう。
もっとも、「野球場の目の前で休日は騒がしいという点」を1つ取ってみても、(仮に、住宅地としては向かない場合であっても)人が集まるという観点からは使い道がないわけではないでしょう。
一方、「道幅が狭い点」ですが、ご質問内容から詳細は分からないものの、宅地に建物を建てる場合は原則4メートルの幅員の道路に対して、敷地が2メートル以上接していなければならないというルールがあるため、もし、この「接道義務」を満たさない土地であれば、宅地以外の使い道を検討していくことになります。
提案力・問題解決力のある不動産屋さんとは?
まず、不動産の定説として、売りにくい土地であっても、隣地の方はその土地を欲しがっている場合があるということがあります。土地を合わせることで、今まで利用価値の低かった土地が生き返るのです。したがって、ご近所さんに売りに出していることを知られたくないといった場合を除いて、隣地の所有者に営業しない不動産屋さんは問題外ではないでしょうか。
土地を高く売るためには、住宅地や商業地、工業地として取引されれば良いのですが、条件によってはそうはいかないこともあるでしょう。その場合でも、「資材置き場として使えないのか」「倉庫やコンテナを置くことで使えないのか」「ソーラー発電のための土地にできないのか」など、少し考えただけでも色々な方法が思い浮かびます。
そして、人が集まるという観点からは、「キッチンカーのための一時的な駐車場として貸す」なんて発想もありかもしれません。
いずれにしても、出口戦略(どのようなターゲットが購入、あるいは借りて、どのように利用するのかということ)を想定できれば、「資材置き場を探している建設業者などにアタックすることやレンタル倉庫会社に打診する」「資産家で資産運用の一環としてソーラー発電に興味をもっている方などに折衝する」など、土地を売るための販売営業が明確になります。
これらの顧客をもっていたり、新規開拓したりできる不動産屋さんこそ、提案力・問題解決力のある不動産屋さんといえるのではないでしょうか。
不動産媒介契約は慎重に!
不動産を売る相談を不動産屋さんにした際に、不動産媒介契約を結ばれたかと思います。その際に、どういう出口戦略なのか説明を受けたでしょうか? 仮に、説明を受けていないのであれば、前述の提案力・問題解決力はさほど期待できませんから、その不動産屋さんへの売却依頼は解約したほうが賢明でしょう。そして、新しく不動産屋さんを探す際には、しっかり出口戦略を確認しましょう。また、媒介契約締結後は、定期的に不動産屋さんから営業活動の報告を受けることになりますが、出口戦略に基づいてどのような販売活動をしてくれたのかもしっかり確認しましょう。
需要の高い、売りやすい不動産の場合は、どの不動産屋さんに頼もうが、どの不動産営業マンに当たろうが、1カ月や2カ月ですぐに売れることが多いです。
しかし、需要の低い、売りにくい不動産の場合は、どの不動産屋さんに頼むのか、どの不動産営業マンに当たるのかで、売れるのか売れないのかの結論が異なってきてしまいます。
ご自身の資産を確実に活用するためにも、出口戦略をキーワードに、提案力・問題解決力のある不動産屋さんを見極め、売却できることをお祈りいたします。
文:みちば まなぶ(ファイナンシャルプランナー)
大学卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングを提案する1級FP技能士。