人間関係

「子持ち様」で分断する職場の人間関係。「子持ち様は無責任だよ」「介護は相談すらできない」

社会の制度もあり職場で優遇されている子持ちの女性たち、ネットでは「子持ち様」などと言われている。面倒をみなくてはいけないのは、子どもだけではなく年老いた両親だったりすることもある。今の時代、不公平感はつのっていると感じられる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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職場で子持ち女性は優遇されるが、年老いた母が家にいる場合は?

職場で子持ち女性は優遇されるが、年老いた母が家にいる場合は?

ネット上で「子持ち様」という言葉が一人歩きしている。子どもの支援が取り沙汰されているときだけに、不快感を覚える人もいるのかもしれない。だが、こういった言葉によって、そこはかとなく嫌味と悪意が飛び交い、さまざまな人間関係を壊していくのではないだろうか。

小さな職場だけに肩身が狭い

「私は、産休を経て今年から職場復帰。7歳、4歳、1歳の子がいるので時短で働いています。保育園だったら預けておけるんですが、いちばん上が学童に入れなくて。今までも産休を完全にとったことはなくて、なるべく早く復帰してきたけど、今回は時短勤務を願い出るしかありませんでした」

ユミさん(40歳)は少しやつれた表情でそう言った。ユミさんはメーカー勤務で、女性6人、男性2人のグループに属している。うち女性ひとりが、入れ替わりのように産休に入ったので、時短を言い出すのは苦しかった。

「なんとか仕事を割り振ってもらったり、家でも仕事はするからと言ってはあるのですが、ときおり『子どもがいる人はいいよね』という独身女性たちの声は聞こえてきました。差し入れをしたり、ときには家に仕事を持ち帰るからと言ったりしていますが、うちの班長の言動がはっきりしない。そこに問題があるような気がします」

50代班長「生まない人たちの分まで…」と

班長は50歳の男性。今どきのコンプライアンスの風潮を気にしているのだろう。時短のユミさんの仕事を独身女性たちに割り振った。

「あげく、子どもを育てるのは大変なんだ。しかも3人もいるんだから、生まない人たちの分も生んでくれてるんだぞ、と言わないでいいことまで言ってしまうので、そのとばっちりが私に来ているんじゃないかと思いますね。もうちょっとシステマティックに割り振るとか、私が家でできる分を見極めてくれればいいのに、うちの会社は時短勤務の場合、家で仕事をしてはいけないんです。いけないというより出社して働く場合の仕事と、在宅で働く場合の仕事の内容がまったく違う」

ユミさんはあくまでもチームで仕事をしたいと考えている。だから在宅でできる仕事はあまりないのだ。在宅で仕事をしたいなら部署を異動するしかない。中堅企業なのに融通がきかないんですとユミさんは苦笑した。

「会社側が社員の実態についてきてない。時短の場合も融通がきかないので、退社する直前に仕事が回ってきて、ちょっと片づけちゃおうかなと思っても許されない。しかたなく隣の人に頼むしかないんです。先日も身を縮めて帰ったんですが、どうやらグループ内の女性がその日、SNSに『だから子持ち様は困る』と書き込んだみたい。もちろん匿名でしたけど、その人の投稿を遡ってみたら、だいたい誰だかわかりました……」

誰かにしわ寄せがいってしまうような仕事配分であれば、仕事を肩代わりする人たちにとって負担は大きすぎる。これはやはり上司や企業側が改めるしかない。

>「子持ち様」ばかりが……
 
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