鎌倉にある鶴岡八幡宮の「段葛(だんかずら)」。グーグルマップで見ると驚きのトリックが……
日本国内で楽しめる歴史的建造物の一例として、鎌倉の「鶴岡八幡宮」の段葛(だんかずら)をご紹介したいと思います。
鶴岡八幡宮の「段葛(だんかずら)」に使われている視覚トリックとは
「鶴岡八幡宮」は、鎌倉時代の初代将軍源頼朝ゆかりの神社としても知られ、今も観光名所になっていますので、行ったことがあるという方も多いかもしれません。筆者も何度も訪ねたことがあります。公共交通機関を使って参拝するときには、鎌倉駅で降りて、最寄りの「二の鳥居」をめざします。その「二の鳥居」から始まり、両脇の車道よりも一段高くなった中央分離帯の歩道をずっと歩き、大きな交差点の信号をわたると「三の鳥居」があり、「鶴岡八幡宮」の境内にたどり着きます。この「二の鳥居」から「三の鳥居」の手前までの歩道が、「段葛」と呼ばれる部分で、視覚的なトリックの技術が使われています。二の鳥居から見ると、段葛はまっすぐ一直線に神社前まで伸びていて、歩道の両側は、平行に見えます。しかし実は、段葛の始まり(二の鳥居あたり)の道幅と、終わりの道幅は違うのです。もっと具体的に種明かしをすると、先に行くほど歩道の幅が狭くなっています。
本当かなぁと思う方は、グーグルマップの衛星写真を見て確認していただくといいでしょう。樹木が植えられている部分も含め、具体的な道幅は、段葛の始まり(二の鳥居あたり)で9m、終わり付近(三の鳥居の手前)では6mになっています。意識していないと気づかないかもしれませんが、人出が多いときは、二の鳥居付近はスムーズに歩けるけれど、三の鳥居が近づくと「混んでるな」という印象を受けることがあります。
もうお気づきだと思いますが、鶴岡八幡宮に近づくほど段葛の道幅が狭くなっていくのは、参拝者に鶴岡八幡宮を遠くに見せるための仕掛けなのです。これは、偶然そうなっているのではなく、神社を作る時に、意図的に設計されたそうです。
鎌倉を訪ねる機会がありましたら、ぜひこの段葛を通って、始まり付近で両手を横に広げたときと、終わり付近で両手を広げた時で、どんな感じがするか試してみるのも面白いと思います。