義父母と距離感が近くなった結果
義父母に子どもの世話を頼んでいることもあり、ミナさんはときどき義父母と食事に出かけるようになった。「義父が焼き肉好きで、近くにおいしい店があるので、そこで合流することが多いですね。帰りはみんなで義父母を送りがてら家に行き、お茶を飲んだりしてから自宅に戻る。ただ、義父母は常識がないところがあって……。子どもたちと一緒に歩きたがって、歩道の幅いっぱいに横に広がるんですよ。私はつい子どもたちに『横に並ばないの、他の人が通れないでしょう』と注意してしまうんですが、義母は『いいの、一緒に並んで歩きたいの』と耳を貸さない」
しかも義母は途中であめ玉をなめだして、その包装紙を道端に捨ててしまう。義父は鼻をかんだ紙を捨てるありさまだ。さすがに夫が注意したが、それもまた聞こうとしない。
「子どもの前だからやめてほしいと私が言ったら、義父が『もう、おまえら帰れ』と途中で怒りだしてしまった。夫が『じゃあ、帰ろう』と私たち一家は反対方向へと踵を返した。すると義母が『行かないでよ』と急に感情的になって」
「私、冷たいでしょうか」
夫はもともと特に義父母とべったりというわけではない。ただ、親のほうが子離れしておらず、このままだと孫にべったりになると夫は危惧しているそうだ。「私も急に義父母との距離が近くなったので、どう付き合っていいかわからないままこの1年を過ごしてきました。次男も小学校2年生になるし、長男は学校で夕方まで過ごして帰ってくることもある。次男はこの春から学童に行かせることにしました。民間なので高くつきますが、次男のためにもいいと思って。当然、義父母からは苦情がありましたが、会えなくなるわけじゃないからと夫に話してもらいました」
孫と私を引き裂くつもりね、と義母に電話で言われたことが心に残っているが、「そうではない。子どものため」とはっきり言った。
「これからもいろいろあるでしょうね。介護が必要となったとき、ひとりっ子の夫にすべての負担がかかってくるのも不安です。でもなんとかふたりで乗り切っていくしかない。距離が近くなれば情もわくけど、必要以上に情に流されてもいけないなと改めて思っています」
私、冷たいですかねえとミナさんは最後に不安そうに言った。