Q:1年間厚生年金保険に入ると、毎月、保険料はいくら引かれ、将来もらえる年金額はどのくらいアップするのか?
「繰り上げ受給で60歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金を1カ月当たり4万8000円ほどもらい、パート年収が120万円ほどの主婦です。毎月、社会保険料はいくら引かれますか? 1年間厚生年金保険に入ると、将来もらえる年金額はどのくらいアップするのですか?」(Rさん)パート年収120万円の場合、毎月の社会保険料はいくら天引きに? また、1年間厚生年金保険に入るとどのくらい将来もらえる年金額はアップする?
A:相談者が負担する社会保険料は月額1万4641円。将来もらえる年金額は6923円増えます
まず、社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料)は、加入している社会保険の保険料額表によって、標準報酬月額(毎月の給与を一定の金額幅で区切った額のこと)の等級ごとに設定されています。例えば、協会けんぽ(2024年(令和6年)度保険料額表(東京都))では、健康保険料は11.58%(介護保険料を含む)、厚生年金保険料率18.3%を標準報酬月額に掛けた保険料額が決められています。給与から天引きされる社会保険料は、厚生年金保険料、健康保険料、40歳以上は介護保険料を合算して天引きされます。
相談者の年齢は、60歳と仮定します。パート年収が120万円とのことですので、12カ月で割って月収にすると10万円になります。そこで協会けんぽの保険料額表を参考すると、標準報酬月額は9万8000円(報酬月額9万3000~10万1000円)の等級に該当します。健康保険料は1万1348円で本人負担分は半分の5674円(介護保険料含む・1円未満四捨五入)となり、厚生年金保険料は1万7934円で本人の負担は半分の8967円となります。
つまり、相談者の毎月の給与から天引きされる社会保険料は、5674円(健康保険料と介護保険料)+8967円(厚生年金保険料)=1万4641円です。
次に、相談者が1年間厚生年金保険に加入した場合の、将来もらえる老齢厚生年金の受給額(報酬比例部分)がどれくらい増えるのか、計算してみたいと思います。
今回は、相談者が月額10万円(賞与なし)、厚生年金保険に1年間加入した場合の老齢厚生年金の受給額を計算します。
●計算式(※従前額保障で、2003年4月以降の計算式を使います)
2003年(平成15年)4月からの期間の平均標準報酬額(月給+賞与)×5.769/1000×2003年(平成15年)4月以降の厚生年金保険加入期間
10万円×5.769/1000×12カ月=6922.8円(年額)
6922.8円(年額)を月額に直すと約576円。つまり相談者は1カ月当たり約576円、年額6923円、もらえる年金額が増えることになります。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)