義母が息子を嫌う理由
第二子が産まれてからも義母との関係はうまくいっていた。その子が3歳になったころ、義母はふいに「私は息子が嫌いなのよね」とつぶやいたという。「子どものころは素直な子だったけど、大人になってからは人への思いやりの気持ちがなくなっていったと義母が言うんです。確かに夫はマイペースで、しかも何をやらせてもできる人。だからできない人の気持ちがわからない。私もモラハラまがいのことを言われることがあるんですが、『そういう言い方は傷つく』とはっきり言うと『ごめん』とは言うんです。
エリート意識は高いかもしれない。ただ、言えばわかるから私は根気よく付き合っているんです。上の子は運動が苦手で、夫は『どうして早く走れないのかわからない』なんて言っちゃう。でも運動能力は人それぞれ、努力してもできないことはあるんだと夫を諭しました。あなただって、明日から寿司職人になれと言われたらできないでしょって。オレは1週間あったらできるようになると思うというから、職人仕事をバカにするなと怒りました。義母にその話をしたら、『そうそう、そういうところが私は我慢できないの』と」
エリート然とした息子を嫌う義母
人はそれぞれの役割があるのだから、エリートだけが世の中を動かしているわけではないよと、ユリカさんははっきり夫に言ったこともある。「たぶんわかってくれたとは思っています。でもそういうことを義母が言うと、夫は『ろくに社会で揉まれてもいないお母さんに何がわかるの』と冷笑されるんですって。それはひどいですよね。それで義母はすっかり息子が嫌いになったそうです」
自分が調整役になれるならなろうと思っているが、今のところ義母にその気持ちはない様子。ユリカさんは義母と一緒に出かけることも多いが、義母は家に寄ろうとはしない。
「義母は本来、明るくて前向きで素敵な女性なんです。夫はそれをわかってない。自分の母親だからバカにしてもいいだろうと軽く考えている。『うちはひとりっ子だけど、いいの。私は息子がいなかったものとしてる。あなたが仲良くしてくれてうれしいわ』と義母は言うんです。
私も義母は大好きだからありがたいけど、いつかは夫と義母の間もわだかまりがなくなればいいし、そのために自分ができることを考えていきたいと思っています」
馬が合う、反りが合わないなど、人と人との相性には理屈で説明できないことがある。親子であっても同じなのかもしれない。ただ、ユリカさんが言うように、できれば穏やかな関係を築きたいもの。当事者同士で向き合うよりも親しい誰かがそれとなく修正をかけていったほうがいいこともあるのだろう。