夫に「締めつけられていた」と自覚した
3年前に夫に先立たれたサホさん(58歳)。28歳で結婚、27年間連れ添った夫は、今思えば「身勝手で、いわゆるモラハラのひどい人だった」と言う。夫が亡くなった当時、子どもたちは26歳と24歳。長男は就職して家を離れ、長女は大学院に進学していた。「3歳年上の夫とは社内結婚だったので、私は退職。転職を考えているうちに妊娠し、結局、下の子が小学校に入るまでは専業主婦でした。それ以降は子どもの成長に合わせてパートを変えながらやってきた。40代で家を買ったとき、夫は『おまえたちはオレに感謝しろよ』と言ったけど、私が経済的なことも含めて家庭内をうまくおさめてきたから買えたとも言えるんじゃないかなと内心、不満だったのを覚えています」
子どもたちが大学生のころ、サホさんは久しぶりに高校の同窓会に参加しようとした。土曜日の夜のことだ。夫に「同窓会に行く」と言ったら、「オレのごはんを用意していってくれるんでしょ」と当然のように言う。そこには「養われている身なんだから、そのぐらいのことはしろ」と無言の圧があった。午後から美容院に行くつもりだったサホさんだが、結局、夫の食事を用意しているうちに美容院には行きそこなった。
夜8時、夫から「帰ってこい」と電話
「その日は楽しくて二次会まで行ったんですが、夜8時を過ぎたら夫から電話がかかってきました。『主婦なんだから早く帰ってきなさい』って。主婦である以前に、私は大人で、夫のそんな指図を受けるいわれはない。友人に言ったら『愛されてるのねえ』と笑われたけど、これは愛ではない。支配であり所有欲だと感じました」反抗心がむくむくとわいて、彼女が帰宅したのは午前零時近かった。夫が心配しているかと思いきや、食べた皿をキッチンに持っていくわけでもなく、リビングのソファで高いびき。サホさんは皿をそのままにしてさっさと寝室に入って寝てしまった。
翌日の夫の不機嫌さは思い出したくもないという。
>突然終わった、モラハラ夫との生活