冷たい義母にどう対応したらいいかわからない
「べたべた甘える家族ではない」と夫はいうのだが……
「最初の5年くらいは、とにかく義母に好かれたくて、毎月プレゼントをしていました。そんなに家に来なくてもいいと言われてからも、とりあえず寄って義母の好きそうなお菓子とか花とかを置いて帰ったりしていた。そうしたら義母がある時、『あなた、ちょっとおかしいんじゃない?』って。ショックでしたね。私としては嫌われたくないのと同時に、息子の世話をしてもらっているお礼のつもりだっただけなんですが」
その後はコロナ禍もあり、ヒロコさんも在宅での仕事が増えたため、夫の実家に頻繁には行かなくなったが、義母が寂しいだろうと息子の写真や動画を送ったりはしていた。だが、それについて感想をもらったことはない。
「昨年、息子が小学校に入った時もランドセルひとつ送ってくるわけではなくて。入学してから1度、外で義父母と5人で食事をしたときに入学おめでとうと、息子にお小遣いをくれた程度です。義父母にランドセルを買ってもらって、家族みんなでそれを見ながらお祝いしたり、入学前にみんなで旅行したりというのを私は望んでいたんですが、夫も義父母もそんな気配もなくて」
家族って何だろう
ヒロコさんが考える「温かい家庭」と、夫が望む家庭はまったくありようが違うのかもしれない。義母もまた、ヒロコさんを「息子の妻だから赤の他人」と悪気なく考えている人なのではないだろうか。「夫には考えすぎだし、きみの理想が必ずしもいい家庭とは限らないと言われるんです。でも私が思う家庭のほうが、息子にとってもいいに決まってる。何でも話して、些細なことで笑い合いたい。義母は最近、60代半ばになって油絵にはまり、最近は夢中で絵を描いています。義父も多趣味な人。好きなようにさせればいいんだよと夫は言うけど、このままだといつか義父母の体が利かなくなったとき、私は義両親の世話をする自信がありません」
義妹は結婚して遠方に越していったため、頼れない。夫は両親について「介護が必要になれば自分たちで考えて施設にでも入るよ」と言うが、それもまた冷たいとヒロコさんは感じてしまう。
親子関係への考えがまったく違う義父母や夫を見ていると、「家族って何だろう」と虚しくなることもあるとヒロコさんは言った。