相手に何かを「強要」するのは果たしてどうかと思いながらも、奮闘の末、夫の意識を変えた女性がいる。もちろん、夫が自ら意識を変えるのが一番いいが、そうでない場合、妻としてどこまでやるべきかは個人差がある。
高校時代の先輩後輩だった夫と私
「夫は高校時代のバレー部の先輩でした。女子と男子は分かれていましたが、それでも合宿などは同じ日程だったし、練習でも協力しあうことが多々あったので、部員同士は仲がよかったんです」イサコさん(40歳)はそう言う。1つ年上の先輩だった彼は、イサコさんを目にかけてくれた。彼女は彼に片思いをしていたという。
「かっこよかったんです。でも当時、同じ学年のバスケ部の先輩と付き合っているという噂があったし、私なんか入り込む隙はなかった。ただ、2年後、彼が進学した大学に私も合格したんです」
先輩を追ったわけではなかったが、合格した私立大学が2つだったので選択したら、彼と同じ大学になったのだ。
「入学してすぐキャンパスを歩いていたら、先輩に声をかけられて。いつか会えるかなと思っていたのでうれしかった。『おまえ、バレーボール同好会に入れ』と“命令”されました。そのまま部室に連れていかれて先輩たちに紹介されて。バレーボールの練習もしたけど、遊園地に行ったりドライブに行ったりという遊びも盛んでした」
戦略的に彼との交際にこぎつける
彼とは付き合うこともなく卒業、それぞれに就職した。それでも彼との連絡はとぎれず、同好会の飲み会はときどき行われていた。そしてあるとき、彼が「フラれた」と落ち込んでいるのを機にイサコさんは「弱った彼の絶対的な味方になって口説き落とす」という作戦を続け、ついに交際にもちこんだ。
「それでもずいぶんひどい扱いも受けましたよ。彼が浮気していたであろう時期もあった。私がいちばんだよねと言いたいのも抑えて、ひたすら彼を受け入れる女に徹しました。彼が30歳になったとき、『いつでもオレのそばにいてくれたのは、結局はイサコだったんだよな。今までごめん』とプロポーズ。そのときはうれしかったんですが……」
大好きな彼を射止めたのだから、不満はない……はずだった。
>先輩と後輩から始まった夫婦の関係性はヘン