頑固で細かい夫は昭和というより「明治の男」
「なんだかね、昭和を通り越して明治の男みたいになってきているんですよ、夫が。といっても明治の男ってよくわからないけど、昭和よりもっと頑固で堅苦しい感じ」笑いながらそう言うカヨさん。保育園のお迎えは、完全フレックス制で仕事をしているカヨさんが行くことが多いが、ときには仕事が詰まって間に合わないこともある。そんなときは延長を頼めるので、カヨさんはすぐに依頼するのだが、それを知った夫は不機嫌になる。生活のリズムが乱れるからだ。
「だけどこれから大きくなっていく上で、毎日、同じ時間帯で生活できるとは限りませんよね。そろそろそういうことに対応していける強さも必要だと思うんです」
夫は妻の「夕食作りの時間」も設定
今年から小学校に入るのだが、夫は今から子どもの生活時間割を作っている。カヨさんがそれを見ると、翌日の時間割に合わせて準備するのは、夕方5時からの15分間と決まっていた。「まだ学校にも行ってないのに何がわかるんだと私は思いましたね。でも夫は『あとから微調整するとしても、今後の生活はこうなると明確にわからせておいたほうがいい。子どもはまずきちんとした生活が必要だ』って。学校へ行くって、ただでさえ時間に縛られることだから、帰ってきても縛るのはかわいそうだなと私は思いますね。
私、完全フレックスになってからものすごく仕事の効率がよくなったんです。今は在宅で仕事をしてもいいことになっているので、ますます私に向いているなあと思っています。きっちり計画をたてて暮らすのが向いている人もいれば、私みたいに無計画のほうが快適な人間もいることを夫には理解してもらいたいですね」
息子は「まず野球、そして私立中」と計画済
夫の計画によれば、本来はもうひとり子どもがいるはずだったのだが、それは無理だった。そのため夫は子ども代わりに、来年、子犬を飼おうとしている。ひとりっ子だとかわいそうだから、犬を弟か妹のように育てたいのだという。「いや、犬は人間の代わりにはならないから……。ペットはあくまでもペット。家族だけど人ではないからと私は言いました。さらに夫の計画だと息子には野球をやらせ、中学は私立に入れると。息子は野球が好きじゃないかもしれない、他の選択肢はないのかと聞いたら、まずは野球だと。こうなると計画的に生きている人というより、自分の人生に息子をまきこもうとしているようにしか見えない。私は息子の自由を守り抜くつもりですけどね」
すでに始まっている夫婦の不毛ともいえるバトル。まずは息子の意志を尊重するところから始めないと、思わぬしっぺ返しがあるかもしれない。