親切に教えてくれるのはいいけど
「3年前、越してきた当時にいちばん親切にしてくれたのがリナさんです。同じマンションで、私と彼女は同い年。しかも、彼女の長女がうちの長男と同じクラスになったこともあり、マンションでのルールから学校のこと、ママ友の人間関係まで教えてもらいました」そう言うのはシュウコさん(43歳)だ。10歳の長男と8歳の長女がいる。3年前に夫の実家と自分の実家の中間地点である今の場所に中古マンションを購入した。息子の入学に合わせて越したが、やはりそれまで同じ幼稚園や同じ保育園に通っていた子たちが上がった小学校ではなかったから、長男にしてみれば「転校生気分」ではあっただろう。リナさんの娘が仲良くしてくれたのには助かったとシュウコさんは言う。
「ただ、最初からリナさんの言うことは、けっこう主観が強かったんですよね。近所の人間関係にしても、彼女が『あの家の奥さんには気をつけて』と言っていたけど、私が実際話してみるとすごくいい方だったりした。リナさんの親切には感謝しつつも、すべて鵜呑みにはするまいと思っていました」
ママ友の「度を越した」親切
シュウコさん夫婦は共働きなので、基本的に忙しく、時間がない。そんな中、リナさんの親切はたびたび度を超えることもあった。「2年前、私の母が倒れて入院していたことがあったんです。一時期、意識不明になり、そんなときに限って夫が出張で、心細くて。ばったり道で会ったリナさんが『あんまり顔色よくないけど大丈夫?』と声をかけてくれたので、つい母が病気でと話してしまったんです。そうしたら彼女、『何かあったらすぐ言って。私、いい葬儀屋さん、知ってるから』って。そのときはうっかりありがとうと言ってしまったんですが、あとから考えたら失礼な人だな、と。もちろん、母は今、すっかり元気になったのでよかったんですが」
彼女に悪気はないのだろう。だが、踏み込みすぎると思われる発言はその後も続いた。
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