金銭的な負い目が夫の思いをこじらせる
妻のアドバイスに従っているつもりなのだけれど
「最近、妻が冷たいんですよね」そういうのはダイキさん(43歳)だ。結婚して10年、8歳と5歳、ふたりの女の子がいる。同い年の妻も正社員の共働き。「余裕があっていいね」と言われるが、実態は違う。
「うちの両親は商売をしていたんですが、ふたりとも高齢になり、跡継ぎもいないので5年前に店を閉めました。母は70代半ばですが今も清掃のパートをしています。父は80近くなって急に体力が衰えてきて働けない。年金は少ないし、大きな地震が来たら潰れてしまいそうな家にふたりで住んでいる。毎月、7万円を送っています。なんとか食べていってもらわないと」
妻も了承済みだが、だからこそ妻は仕事を辞めることができないでいる。両親の生活の面倒を見たいと言ったときは、「私は子育てに専念できないのね」と泣いたこともあった。
「だからこそ家事も育児もふたりできちんとやろうと決めて、僕は仕事以外、家庭のことばかりやっています。残業も極力減らし、家に仕事を持って帰って徹夜になることもある。でもちゃんと朝食を作ります。朝食とお弁当は僕の担当なので」
仕事と家事・育児しかしない日常に
ふと気づくと、友人との飲み会からも趣味のフットサルからも離れていた。それどころか職場の飲み会さえ、一次会の途中で退出することが多い。「それもこれも親への7万円を妻に許してもらっているという負い目から。しかたがないと思っていました」
家のローンと光熱費、親への送金でダイキさんの手取りの大半は消える。今後のことを考えると、子どもたちの教育費も増える一方だ。
「それでも妻とはお互いに敬意を持ちあって暮らしていると信じてきました。でも昨年夏、妻が突然『寝室を別にしよう』と言い出したんです」
ふたりとも忙しいから、夜、寝室で会話を交わすくらいしかふたりの時間はとれない。それがダイキさんの励みにもなっていた。それなのに……。
「僕は思わず『イヤだよ。夫婦は同じ部屋で寝るべきだ』と言ったんです。妻は『あなたが寝返り打ったりいびきかいたりすると私、眠れない』と。ツインベッドで寝ているので、じゃあ、少しベッドを離そうと提案しましたが、冷房の温度も合わないとか、あなたがトイレに行くたび起こされるとか、いろいろ言われて……」
結果的に別室にせざるを得なくなった。
>妻に詳しく話をきいてみると