人間関係

夫宛ての“怪しい年賀状”を詮索した妻、「何もかも知ろうとするな」と悪者扱いされてモヤッ(2ページ目)

発端は「お顔を拝見したいです」と書かれた怪しい年賀状。その後、朝帰りと、出張だと偽られた3日間の外泊。我慢ができず問い詰めると、夫はキレはじめた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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夫のLINEにメッセージを送ると

夫の携帯にかけてみるとやはりつながらない。留守番電話とLINEで状況を伝えた。出張じゃなくて休暇をとったのはバレてるからね、とも送っておいた。

「でも夫からは連絡がなかった。3日後、戻ってきた夫はやけにやつれていましたね。いったい何があったのか話してもらおうかと、こちらも臨戦態勢になりました。すると夫は『今日は寝かせてほしい。後日、ちゃんと話すから』って」

数日後、夫が話したのは、年賀状の彼女は高校時代に付き合っていた女性だということだった。大学入学のため上京した夫は、遠距離恋愛を望んでいた彼女をあっさりと振ってしまった。なまじ優しいことをいうよりきっぱり別れたほうが彼女のためにもなると信じたようだ。彼女は地元の短大に進んで地元で就職、25歳で結婚した。彼女が結婚するとわかったとき、彼は地元に戻って「やり直したい」と訴えたが、今度は彼女に手厳しくフラれたのだという。

「そして昨年の年賀状。彼女は夫を亡くして意気消沈していたようです。春先の3日間は彼女が上京してきたのだ、と。だけど深い関係にはないと夫は断言しました。そして出張だと偽った秋の3日間は、彼女が病気で入院したので見舞いに行っただけだと。私は本当のことを言ってないと直感で思いました。秋はふたりで旅行したのではないかと。

夫は『本当に病気なんだよ。今も入院してる』って。じゃあ、あなたの気持ちはどうなの、彼女の存在が今でも心を占めているのと尋ねると、夫は『オレは現実を生きている。この家庭がいちばん大事だよ。それくらいわかってるだろ』と」

そう言われてもヒサコさんの気持ちはおさまらない。夫の本当の気持ちはどうなのか、10年にわたる結婚生活の中で、彼女を思い出したことはあるのか、彼女と結婚すればよかったことはあるのか……。聞きたいことは山ほどあったが、答えが返ってきたからといって信じるかどうかは自分の問題になることもわかっていた。

「それでも聞きたい、納得したい。夫を疑ったことなどなかったから、疑うような状況を作られたことじたいが信じられなかった。妙な焦燥感がありました」

「どこまで詮索すれば気が済むの?」と夫

どんなに言葉を尽くされても、信じるかどうかは自分次第。それでも納得させてほしいと彼女は夫にすがるようにして答えを求めた。

「夫はうんざりしたんでしょう。『どこまで詮索すれば気がすむの?』『何もかも知ろうとするのはどうなんだろう』『自分でも自分の気持ちをうまく言葉にできないことがある』と突き放されました。夫婦で隠し事はしないって決めたじゃないと言ったら、『だから全部話した』って。まるでそれを信じない私が悪いみたいになった」

夫は何ごともなかったかのように生活している。子どもの手前、夫婦げんかをしているように思われたくなかったから、ヒサコさんも以前と同じように夫と話したりもする。だが、いつまた夫の帰宅が遅くなるのか、“出張”があるのかと考えると、とても前と同じ気持ちではいられない。

「なるようにしかならないと開き直れればいいんですが、なかなかそうもいかなくて。夫の気持ちを詮索するのはそんなにいけないことなのか、知りたいと思ってはいけないのか。夫婦は他人だと人はよく言うけど、私は一心同体だと思ってきた。だからこそ今の状態がつらいんです」

何が正しくて何が正しくないかという問題ではない。夫の言うことが真実なら、もう放っておいてもいいのではないかと思う人もいるだろうし、どこまでも追求しないと気がすまない人もいるだろう。

今後、夫婦、家族がどうしていきたいのか、ヒサコさんがどうしたいのか。ゆっくり落ち着いて考えていくしかないのかもしれない。
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