今回はAll About編集部が全国のユーザーに実施した「近隣トラブル」に関するアンケート(※)から、「隣家の庭木」に関する投稿者のお悩みを紹介。法的観点から対応方法や注意点などについて、弁護士でAll About 暮らしの法律ガイドの鬼沢健士が回答します。
伸び放題の庭木にうんざり
【投稿者のお悩み】我が家は一軒家なのですが、お隣さんが庭を全く手入れしないので、庭木が伸び放題で、うちの庭に枝木が入り込んできます。エアコンの室外機にも絡んできて、取り除くのが大変でした。庭はもちろん、外の道路に生えている雑草も取らないので汚いですし、景観が損なわれます。ご近所でも評判が悪いです。早くどうにかしてほしいです。なんとか策はないものでしょうか(50代・女性/神奈川県)。
土地の所有者が枝を切ることもできる
【回答】隣地からの境界線を越えてきた枝について、以前は自分の家の境界線に侵入してきた枝を所有者に切るように求め、所有者が求めに応じない場合には、さらに裁判の手続きを経る必要がありました。
しかし、2023年4月1日に施行された民法233条3項では、庭木の土地の所有者に枝を切るように催告をし、土地の所有者が応じない場合、相当期間経過後には所有者以外でも切ることができるようになりました。
隣人にまずは枝を切るように催告書を送付し、相当期間が経っても隣人が対応しなければ、土地の所有者が枝を切ることが可能です。
なお、植物の根が境界線を超えてきた場合には、民法233条4項が「根を切り取ることができる」と規定しているので、催告書を送る手順を省略して勝手に切ることが可能です。
法律は、“枝”と“根”で対応を分けているわけですね。
隣の家から伸びた枝などでなんらかの損害が発生した場合は当然、隣人に損害賠償を請求することができます。
今回の例で言えば、枝木がエアコンの室外機に絡んで故障した場合には、その分の損害を請求することができます。枝を切る前に写真を撮影しておき、伸びた枝がどのように干渉しているのか具体的に分かるようにしておきましょう。
※All About編集部が全国176人にアンケート。調査期間は2023年11月14日~11月20日