実家では、母は寝たきり、その面倒を父と兄でみている状況だった
母の介護をする80代の父と50代の兄
数年前に母が転んで足を骨折、以来寝ついてしまったと聞いていたユウコさん(49歳)。80代の父と50代半ばの兄がふたりで80代母の面倒をみている状態だった。「実家はかなり遠くて、飛行機、電車、タクシーを乗り継いで行かなければならないので、もともと年に1~2回しか帰っていませんでした」
ユウコさんは首都圏に住んで30年近くなる。その間、結婚もして子どももふたりいる。兄がいるからと思っていたのだが、その兄は独身のまま年をとり、50歳になったところで職を失った。それ以降は、両親の年金を生活費にしてきたらしい。
「これは昨年の夏、夫と高校生、中学生の娘たちと帰省したときのことなんですが」
ユウコさんはそう話し始めた。
「寝たきりの母に、父と兄が寄り添って、1回の食事に2時間もかけて食べさせている。丁寧に暮らしているというわけじゃないんです。キッチンは汚かったし、家の中もかなり荒れていて……。父の受け答えも怪しく、認知症気味なのではないかと疑いました。兄もなんだかぼんやりしているし」
連絡を絶ち、介護を抱え込んでいたことが判明
ケアマネージャーとはつながっていたのだが、日々の介護に関してはほとんど相談がなされていなかったようだ。心配になったユウコさんが帰宅後、母のケアマネに連絡をした。すると父と兄は「介護は自分たちがやるから」と連絡を断ったままだったということがわかった。「なんだかおかしいからと、すぐにケアマネさんに見に行ってもらったんです。そうしたら、なんと寝たきりの母より父のほうが認知がおかしい、と。とにかく3人をなんとかしなければともう一度、実家に行ってケアマネと会って、いろいろ話をしました」
とりあえず母の健康チェックをしてみると、実際には母は特に悪いところがなかった。骨折した足のリハビリをほとんどしなかったため、歩けなくなっていただけだった。ユウコさんは母を施設に預けることにした。
>実家にいる全員が、深刻な問題を抱えている状態