ですが、「ただ単純に文章を書き残しておけるアプリ」というわけではありません。ユーザーが長く継続して記録し続けていけるよう工夫が散りばめられており、楽しみながらログを残していけるアプリとなっています。
今回は「ジャーナル」アプリの概要を説明しつつ、その特徴と、実際に使ってみてよかったと思う点、そして今後期待する点をまとめました。
iPhoneアプリ「ジャーナル」 とは
「ジャーナル」は、Appleが提供を始めたiPhone用の新しい日記アプリ。日々の生活の中で何気なく見過ごされてしまう瞬間や、人生の大切な出来事を振り返り、記録していくものです。一番の特徴は、デバイス上の機械学習を活用してパーソナライズされた提案をする点で、ユーザーにジャーナル入力のきっかけを与えてくれます。
また、日記の形式にとらわれないのも魅力のひとつ。シンプルなテキストだけでなく、写真、ビデオ、録音した音声、位置情報など、さまざまな情報と紐づけて記録を残していくことができます。
iPhoneアプリ「ジャーナル」の使い方
ジャーナルの使い方は次の通りです。1.
アプリを起動したら「+」アイコンをタップ。すると、ジャーナルのネタになりそうな「モーメント」がiPhoneから提案されます。
2.
提案されたモーメントをタップすると、その内容に関連付けてジャーナルを書き始めることができます。
3.
もちろん最初から自力でジャーナルを作ることも可能。画面上にある「新規エントリー」をタップすると、新しくジャーナルを書き始められます。写真や動画、音声、位置情報といった情報を添付することも可能です。
「ジャーナル」の素晴らしいと感じた点
筆者は、過去に何度も「日記」の習慣を作ろうと試みた経験はあるのですが、なかなか定着せずにここまで来てしまいました。重要性は分かっているのですが、なかなか続けられず……。その理由は、おそらく「面倒だ……」と感じてしまうからです。書こうと思っても、何について書こうか悩んでしまい、時間がかかる。今日あったことを思い出すのも大変ですし、印象に残っている出来事がないときだってあります。
昨日と同じ日常の中に、変化を見つけることはなかなか難しい。
しかし「ジャーナル」アプリは不思議とストレスなく続けられています。その理由はいくつかありますが、大きくは以下の3点だと感じています。
■「日記」ではなく「記録の連続」
一般的に「日記」と呼ばれるものは、一日の最後にその日を振り返って、ひとつのページにまとめあげるものを想像すると思います。
ですが「ジャーナル」は違います。その日の出来事を振り返るような使い方はせず、思ったり感じたりしたことをその瞬間に書き残すような使い方になります。SNSへの投稿に似ているかもしれません。
そういった「今」を連続して記録し続けた結果として、最終的に「日記」と呼ばれるものができ上がる仕組みです。
あれこれ思い悩まず、X(旧Twitter)に投稿するぐらいの気軽さで、今の自分の気持ちや考えを残せばいい。そんな手軽さ、気軽さが心地よくて、ストレスなく続けられています。
■質問に答えるかたちで日記をつけられる
日記の難しいところは「何について書こうかな。書き残しておくほどの出来事ってなんだろうな」と、ネタ探しが大変なところだと思います。
その点「ジャーナル」はとてもいい。自分でネタを考える必要がなく、iPhoneから質問を投げかけてくれます。 直感的に答えられる質問もあれば、少し頭をひねらなければならない質問もあります。したがって、気軽にパパッと答えることもできますし、ちょっと真面目に想いを馳せることもできます。
いくつかの質問を同時に投げかけてくれるので、自分の気分に応じて答える質問を選べます。また、答えづらいなと感じたものは、質問を変えることもできます。
自分だけが読む文章ですから、体裁や形式にとらわれることなく、質問に対して率直に答えられるのが楽しいです。
■パーソナルな提案をしてくれる
自分の行動の記録をもとに「こういうことがありましたけど、何か思ったことはありますか?」と提案してくれるのも、iPhoneだからこそできる、特徴的なポイントです。
過去の写真をピックアップしてくれたり、その日に聴いていた音楽やポッドキャストを振り返って見せてくれたり、ワークアウトの記録を教えてくれたり……。 その日にあったイベントを掘り起こして「こんなことがあった」と気づきを与えてくれます。「これを視聴していたときの気持ち」「何を学んだのか、考えたのか」を振り返りやすくしてくれる、良い機能だと感じました。
「ジャーナル」の今後に期待していること
「ジャーナル」アプリについては、まだまだ足りていないと思う部分もあります。しかしそれは、公開されてからまだ間もないから仕方のないこと。今後のアップデートで、どのような進化がみられるのか楽しみでもあります。そこで、使ってみたからこそ感じる「今後こうなったらうれしいのにな」という点を挙げておきます。
■提案の幅の拡張
今の「ジャーナル」は、音楽/写真/ワークアウトなど、比較的限られた内容でしか提案をしてくれません。したがって単調になりがちで、面白味に欠ける部分があります。
今後は、iPhoneにて行った操作について、もっと幅広く提案してくれるようになったらいいなと思っています。例えば以下のようなものを提案してくれたら、個人的に非常にうれしいですね。
- 今日撮った写真/動画を組み合わせたショートムービー
- YouTubeやTikTokで視聴した動画
- 閲覧したウェブサイト
- 行った場所/訪問したスポット/移動経路
■iPad/Macへの対応
これはいずれ対応すると思いますが、待ち遠しいですね。
特にiPadでの手書き記録ができるようになってほしいと、切に願います。やはり手書きでの表現は、テキストとは比べものにならないぐらい自由で楽しいので。
Macへの対応も心待ちにしています。仕事で常にMacを開いていますので、その場の思いつきへの反応はMacのほうが素早いのです。
また、長文で文章を作りたいときなどはキーボードのほうが便利ですので、やはりMacでも書き記すことができるようになってくれるとうれしいですね。
■より深く、パーソナルな提案をしてくれるコンテンツへの成長
もっともっとパーソナルな情報にもとづいた提案をしてくれて、常に気づきを与えてくれるコンテンツに成長してくれたらいいなと思っています。
筆者にとっては当たり前すぎて忘れてしまうようなことも、iPhoneのほうから「これって大事だったんじゃないの?」と教えてくれる、そんなアプリになったら素晴らしいですね。
Apple Watchで測った心拍数をもとに「なにかドキドキすることありました?」なんて話しかけられたら楽しそうです。
Appleならではの強みは、iPhoneだけでなく、Apple Watch/Mac/iPadといったさまざまなデバイスを通してユーザーの情報を集められる点にあります。
今後は、これらのデータをより広く、深く解釈をして、各ユーザーの軌跡を束ねられるようなアプリに成長していくのではないでしょうか。期待は高まるばかりです。