人間関係

“女性が男性を責める”のは許され、その逆は非難される世の中だけど…妻の言葉には心底がっかり(2ページ目)

妻は、いつでも冷静だし、はっきりものを言う。そういうところが好きで結婚をした。だが長く暮らしていくと、合理的なのはいいが、人の感情に無神経なところがあって信頼できなくなってきた。娘が成人するまでは離婚はしないつもりだが……

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

父が倒れた時、妻が言った一言

病院で妻が発した一言が忘れられない、悪い意味で

病院で妻が発した一言が忘れられない、悪い意味で

つい先月、ケンイチさんの父が倒れた。脳梗塞だった。一時は命の危険もあったが、幸い、一命はとりとめた。今はリハビリ施設でがんばっている。手足のしびれなどの後遺症はあるものの、杖をつきながらなんとか歩けるところまで回復した。

「父が倒れたという第一報を聞いて見舞ったとき、妻も来てくれたんです。そのとき妻が言った一言が忘れられなくて。『かなり厳しい状態ですが、できる限りのことはします。あとはお父さんの生命力を信じましょう』と医者が言ったあと、妻が小声で『喪服、どこにあったかしら』とつぶやいたんですよ。しかも『財産管理とかちゃんとしてる?』って。今、この状態でよくそんなことが言えるなと思わずイラッとしました。すると妻が『いざというとき慌てないようにと思って』って」

自分の親ではないから冷静でいられるのだろうが、僕の立場になってみてほしいと彼は妻に言った。妻は「私があなただったら、葬儀屋はどこに頼もうかと考えているところだわ」と口にした。

「結婚する前から、妻からうちの親は毒親だと聞いてはいました。そうであっても、僕とうちの両親は絶縁もしてないし、僕は親を大事に思ってる。それは妻も知ってるはずです。それなのに、ああいうときにあんな発言をした妻にはびっくりしました」

「器が小さい」と言って片付ける妻

あれからケンイチさんの心の中には、妻の言葉がずっとしこりのように残っている。妻はケンイチさんの両親とほとんど関わっていないから、義父母が憎くて言ったのではないとはわかっている。だが、夫である自分の心中をまったく察することなく、無神経な言葉を繰り出した妻を信頼できなくなってしまったのだという。

「はっきりものを言うのは悪いことではないけど、相手の気持ちを慮りながらというところが妻には欠けているんです。誰もが毒親に育てられたわけじゃない。その想像力がないし、一般的にそんな発言をしていいはずがないことをわかってないんですよね。これほどまでに無神経だったのかと、初めて妻の一面を見たような気がしました」

彼がそのことにこだわっているとわかると、妻は「まだ怒ってるの? 器が小さい」と切り捨てた。男だからといって、何でも「器が小さい」と言って揶揄する態度も許せないと彼は怒りで顔を歪めた。

「器の問題ではない。妻はときどき職場の上司のことを話しながら、『ちっさい男なのよ』と笑っていた。彼女ひとりの判断基準で小さいと決めつけられた上司に、今は同情してますよ」

とはいえ、娘が成人にいたるまでは離婚という選択肢をとるつもりはないと彼は言った。いつか妻のジャッジが間違っているとわかってほしいと考えているが、あの妻が自分の非を認めるかどうかは定かではなさそうだとも感じている。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます