All About編集部が全国のユーザーに実施した「近隣トラブル」に関するアンケート調査(※2)の中から、投稿者のお悩みに対して、弁護士でAll About 暮らしの法律ガイドの鬼沢健士が回答します。
お隣さんのベランダ喫煙、どうにかなりませんか?
【投稿者のお悩み】マンションのお隣さんが毎日ベランダでたばこを吸うので、その煙が我が家にまで流れてくるんです。洗濯物にも臭いが移ってとても困っているのでやめてもらいたいです。「ベランダ喫煙」は法律的に問題はないのでしょうか。また、こんなときはどのように対処したらいいですか?(50代女性/愛知県)
マンションのベランダは「共用部分」
【回答】ベランダでの喫煙は、健康増進法において「周囲の状況に配慮しなければならない」という規制しかなく、違法ではありません。
しかし、マンションのベランダは区分所有建物における「共用部分」であると定められています。そして、マンションの管理規約や賃貸借契約において共用部での喫煙が禁止されていることが多く、ベランダでの喫煙はこれらに反することになります。ベランダではマンションの管理規約や賃貸借契約等で禁煙の記載があれば吸うことはできません。
もっとも、マンション管理規約等において禁止されていないからといって一切責任が発生しないわけではありません。ベランダでの喫煙が訴訟にまで発展することもありますので、そうなる前に防ぐことが望ましいでしょう。
ベランダ喫煙トラブルの解決方法をお伝えします
このようなトラブルが大きく発展する前に解決するための方法について説明します。まずは、具体的な該当者を指摘しない形、具体的には共用スペース部分への張り紙でベランダでの喫煙をしないよう配慮を求める方法が考えられます。管理人や管理組合に相談するといいでしょう。
それでも解決しない場合には、管理人等を介入させて、該当する喫煙者に直接注意してもらってください。苦情を言っている人が特定されないようにした方がいいでしょう。
なお、喫煙をやめるよう何度も頼んだのにベランダでの喫煙を続けたケースにおいて賠償が命じられた裁判例があります。ある程度の私的利用が認められるスペースではありますが、周囲の状況次第では損害賠償請求が可能です。対象者に注意するとき、賠償命令が出たケースを伝えることも有用です。喫煙者の感覚と受動喫煙者の感覚に差が大きいことが多いので、受動喫煙側が感じている被害の深刻さを伝えて理解してもらうのです。
注意しても全く解決の見込みがない場合には裁判による解決もあり得ますが、近隣の人との訴訟は避けたいのが普通ですし、他に解決手段が見いだせない場合の最終手段として考えておくべきでしょう。
参考
※1:FNNプライムオンライン 12月10日
※2:All About編集部が全国176人にアンケート。調査期間は2023年11月14日~11月20日