夫の新NISA口座に資金を集約させるのはNG?
Q. 夫の新NISA口座に資金を集約させるのはNGですか?
「パートで夫とは別に年収300万円があります。夫のみが新NISA口座を開設して夫の口座に資金を集約させるのと、夫婦別々に新NISA口座を開設して運用するのとでは、どちらがよいと思いますか?」(40歳・パート女性)A. 夫婦でも、口座を分けて運用しましょう!
2024年1月から新NISAがスタートするのを機に、資産形成を始めようと考える夫婦も多いでしょう。その場合、夫婦それぞれが新NISA口座を開設して運用するか、夫の口座に集約させるか悩むところですが、やはり夫の新NISA口座に資金を集約させるのは以下の5つの要因からNGと言えます。
- リスク分散
- 税金の最適化
- 個々の投資目的
- 将来のトラブル回避
- 相続の考慮
それでは1つずつ確認してみましょう。
1. リスク分散
資産を別々の口座に分散させることで、リスクを分散しやすくなります。一方の口座で損失が出ても、もう一方の口座が安定している可能性があるため、それぞれが口座を開設し運用するほうがリスクコントロールしやすくなります。
例えば、夫は株式メインの投資信託、妻は債券メインの投資信託というように異なる資産クラスに分けるのも選択肢の1つでしょう。さらに、投資する国や地域も夫婦で分けることで、地域リスクを分散し、ポートフォリオ全体の安定性を高めることができます。
2. 税金の最適化
NISAの良い点は運用益が非課税であることです。夫婦それぞれ元本1800万円まで非課税になるため、口座は1人より2人で開設するほうが非課税枠が増えてメリットが大きくなります。当初は片方の口座だけでも事足りると思いますが、将来的なことを考えると、初期から別々に運用したほうがいいでしょう。
3. 個々の投資目的
夫婦それぞれが異なる投資目的やリタイアメントの計画を持っている場合、別々の口座を持つことが有益でしょう。夫婦それぞれのリスク許容度や投資目標は異なることがあります。
例えば、夫は成長投資枠で株式などのハイリスクな商品に挑戦したいと思っていても、妻はつみたて投資枠で安定した運用がしたいといったような具合です。
リスク許容度が違えば、選ぶべき金融商品も異なるため、個別の口座を持つことで、それぞれが自身のリスク許容度に合った投資戦略を選択できます。夫婦とはいえ、自分なりの投資手法を磨きながら資産形成していくためにも個別の口座を持つとよいでしょう。
また、収入や働き方によりますが、一般的に夫より妻のほうが年金額は少なくなりがちです。だからこそ妻のNISA口座も開設し、妻自身が老後資金の確保を積極的に行うことはとても重要です。
4. 将来のトラブル回避
万が一、別居や離婚という場合、夫の口座にお金を集約させていては、妻自身のためにお金が使えなくなります。死別の場合でも、相続が確定するまでは凍結されるため、使うことができません。夫婦共有財産だとしても、万一のことも想定し、夫婦それぞれで口座を持ち資産形成することが大切です。
5. 相続の考慮
もし、夫が先に亡くなった場合、相続が確定するまではNISA口座のお金を使うことができません。口座を別々にすることで、相続時に資産の処理がしやすくなるかもしれません。金融商品だけではなく、預貯金なども夫婦それぞれの口座に分けておくことで、配偶者の死後のお金の不安を解消できるようになります。
◆ ◆ ◆
これらの要因を考慮して、最終的には、夫婦での意思決定が重要です。どちらがより合理的で、夫婦それぞれの状況や目標に合っているかを見極め、双方が納得できる方法を選ぶとよいでしょう。
夫婦といえども、口座は別々にして資産形成するのがベターですが、自分の口座での運用は自己責任でしっかり管理していくことも重要です。夫婦で将来について話し合い、投資について一緒に学びながら始めることができれば、2人の知識と経験を生かすことができるので、さらに良い投資生活が送れるのではないでしょうか。
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