義母と比べられるようになって
同じように子どもの成長に合わせて、夫の実家近くに越したミエコさん(42歳)は、夫がいきなり自分の母親と妻を比べるようになったことに戸惑いを隠せない。
「忙しいのもあるし、そもそも私、あんまり料理が好きじゃないんですよ。だからつい冷凍食品とか出来合いの惣菜などを多用してしまっていた。それでも家族そろって食べれば楽しいじゃないですか。餃子なんかは家族4人で作ったりして楽しんでいたから、もうそれでじゅうぶんだと思っていたんです。夫からも子どもからも不満が出たことはなかったし」
現在、12歳と10歳の子たちは元気に成長している。おいしいなら、インスタントだって冷凍食品だっていいじゃないかというのがミエコさんの考え方だ。
ところが夫の実家近くに越してから、夫の態度が変わった。
「たとえば私がインスタントものを使って、中華風の炒めものなどを作るとする。すると夫は翌日、同じような炒め物を実家からもらってくるんです。もちろん、義母の手作り。『昨日のよりうまいよ、ほら』と子どもたちにも食べさせている。煮物なんて私はめったに作りませんから、夫は鍋ごと運んできます。『こういう嫌味はやめてくれないかな』と言ったら、『うまいものが食べられればそれでいいじゃん』って。だったらもう、夕飯は義母に作ってもらえばいい。そう言うと『きみはおふくろをこき使うつもりか』ですって」
妻の手料理を暗に批判するのはNG
実家が近くなって母親の手作り料理を食べる機会が増え、改めて妻の料理への不満が出てきたのかもしれない。だからといって、比べたり妻を暗に批判するような行動をとるのは、妻にとっては不快だろう。
「ただ、子どもたちにしてみれば料理はいろいろあったほうがうれしいだろうし、義母も悪意はないと思うので、ここは私が知らん顔することに決めました。私が何も言わなければ夫も嫌味を言うこともない。義母に会ったときは、『いつもありがとうございます。助かります』と言っておく。そこで頑なになることもないと思って。自分が楽できると考え方を切り替えたんです」
今では義母から、「明日はおでんを大量に持たせる」とLINEが来るようになった。「明日は楽できる」とミエコさんはほくそえむ。それでいいんだと彼女は思っている。