夫が“子ども”に戻ってしまった
夫の実家近くに越したら、夫が急に「子ども返り」してしまったと苦笑するミナミさん(37歳)。8年前に結婚した夫との間に、7歳と6歳の年子がいる。今までは保育園に預けており、どうにもならないときは近所のママ友にすがったり、高額な時給を払ってベビーシッターを雇ったこともあった。「本当に毎日が綱渡り。今日も無事に過ごせた、明日はどうなるか。そんな感じでした。ただ、去年の春でしたか、上の子が2年後に小学校に入るのを見越して、このままでいいのかと夫と話しあったんです。学童保育も時間が短いとわかって途方にくれました。私自身も仕事が忙しくなってきていて、せめて就業時間内は思い切り仕事がしたい。同い年の夫もその気持ちはわかる、自分もそうだと。そんなとき、義母から近くに新築のマンションが売りに出たのでどうかと……。オーナーさんが知り合いだから、いろいろ便宜も図ってくれるって」
義母とはほどよい距離感でうまくやってきたので、近くに越すのは不本意だった。だが、実は夫の実家のほうが、ふたりの職場に通うのも便利だし、学童保育が終わっても子どもにとっては祖父母の家で待てる安心感がある。
「背に腹は代えられない。そんな気持ちでマンションを購入しました。今年の初めに入居して、上の子は小学校に入り、下の子は地元の保育園に通うようになって。まあ、なんとなくうまくいくかなと思い始めたころ、夫がやたらと実家に帰っていることがわかったんです」
家事負担軽減どころか、夫が帰ってこない
駅から自宅までの間に実家があるので、つい顔を出しているうち、実家で食事をとってくることも増えていった。「今までふたりで子どもを育ててきたのに、いきなり私の負担が大きくなったんですよ。食事のあとはお風呂やら明日の準備やら歯磨きやら、いろいろあるのにすべて私にさせるのかと夫に詰め寄ったら、『実家に帰るとくつろいで、こっちに来たくなくなっちゃうこともあるんだよ』って。おいおい、実家は帰る場所で、自宅が来る場所かよと突っ込みたくなりました。実家が激近になったことで、夫は子どもに返ってしまったんだと思います」
義母も息子が帰って来る分にはうれしいのだろう。とはいえ、息子はすでに家庭を持った身だ。注意のひとつもしてくれればいいのにとミナミさんは、イライラしていた。あるとき、義母と電話で話す機会があり、ついに「夫がそちらに行ったら、早く自宅に帰るように言ってもらえませんか」と頼んでみた。
「『あの子も大変なのよ。仕事が忙しいみたいだし、今が大事なときなんじゃない?』と義母は言うわけです。それは私も同じです、子どもはふたりで育てると決めているので、とにかく早く帰れと言ってくださいと、最後は切り口上になってしまった。義母は『あなたがそんなにキーキー言ってたら、帰りたくなくなるわよ~』って。ますますムカッとしましたね」
子どもから「パパ、早く帰ってきて」と何度も言わせて、今は少しずつ改善してきているが、それでもミナミさんにとっては不満がある。
>義母の料理を持ち帰るようになった夫