私の浮気を疑う夫
「うちの夫、休日はどこへ行くにもついてくるんですよ。それが嫌だというと迎えに来る。友だちといても少し気が引けますね。若いカップルではないので」苦笑しながらそう言うのはチエコさん(43歳)だ。結婚して14年、中学生になった息子がいる。共働きだが、チエコさんはほぼ在宅で仕事をしているので、家事の多くは彼女が担うしかない状況だ。
「それでも夫も頑張っているほうかもしれません。食事の後片付けはほとんどやってくれます。夫に口説かれて付き合うようになったんですが、当時、私は恋人がいたんですよ」
2年付き合って結婚を考えていたのに、その恋人が浮気していると友人から聞かされた。恋人に確認したが、「してない」と言うばかり。挙句、オレを信じられないのかと怒り出した。それを機にふたりの関係はギクシャクするようになって、彼女は彼に別れを告げた。そんなとき近づいてきたのが夫となったタケトさんだ。もともとはチエコさんの友人の友人で、時折飲み会などで顔を合わせてはいたが親しく話したことはなかった。
「恋を終わらせた私を励ます会を友人が開いてくれて、そこにタケトもやってきた。それで初めてふたりで話したんです。彼があまりに聞き上手だったので、つい前彼の話や愚痴を延々してしまいました」
結婚してわかった“面倒な”夫の行動
それがきっかけでふたりは会うようになり、気づいたら彼女はタケトさんにすっかり心を許していた。「そこから1年ほどで結婚しました。周りの友人たちも喜んでくれて。タケトは『チエコを大事にする』と宣言してくれた」
何を持ってして「大事にする」のかはわからなかったが、タケトさんなりに妻を大事にしている認識はあるようだ。
「在宅が多いけど、週に1回は出社します。そうすると逆に残業になったり、ときには在宅ワークをしている人同士で飲み会があったり。そんなときは夫が早く家に帰ってくれるんですが、必ず迎えに来るんですよ。わざわざ来なくても帰れるからと言ってもやってくる。愛されてるねと周りには言われているけど、新婚当初ならいざ知らず、今は私も面倒だなと思っています」
夫はそれほどまでにチエコさんが大事なのだ。普通はそう思うだろう。
>前の彼と別れた原因を作った張本人?