ブルベマウントとは……ブルべ冬は色白美人ってホント?
ブルベマウントとは
パーソナルカラー診断によくある俗説の一つに、「ブルベ冬は日本人には珍しいタイプ」というものがあります。また、「ブルベ冬タイプは色白美人」と解説されていることもあります。
そのため、ブルべ冬タイプの人の中には、「ブルベ冬タイプの私は特別なの!」という優越感を抱き、他のタイプの人に対してマウンティングしてくる人がいるらしい……と言われているのです。
実際にブルベマウンティングを題材にした漫画もあり、マウンティングする人・される人の心理、そして、その様子を見ている人々の反応なども描かれています。私たちの身近によくあるマウンティングの一つとして、パーソナルカラーもある種のネタになっています。
<目次>
パーソナルカラーには4つの基本タイプがある
パーソナルカラーとは、その人に似合う色のこと。対面型のパーソナルカラー診断では、カラードレープという布を顔まわりに当てて、顔映りの良し悪しを見ていきます。診断結果は次の4タイプです。パーソナルカラーの4つの基本タイプ
明るく華やかな雰囲気の持ち主、春に咲くカラフルな花々のようなフレッシュで元気な色が似合う
◾️ブルベ夏タイプ(ブルーベース・サマー)
上品でしっとりした雰囲気を醸し出すタイプ、パステルカラー、甘くソフトな色が似合う
◾️イエベ秋タイプ(イエローベース・オータム)
落ち着いた雰囲気の持ち主、深まる秋のような、豊潤で落ち着いた大人っぽい色が似合う
◾️ブルベ冬タイプ(ブルーベース・ウィンター)
キレのある華やかな雰囲気の持ち主、くすみのないクールでシャープな色が似合う
「ブルベ冬タイプは少ない」は本当?
では、「ブルベ冬タイプは少ない」という俗説は、果たして正しいのでしょうか。自分に似合う色がわかると、ヘアメイクやファッションに役立つと考える人が増え、パーソナルカラーも広く知られるようになってきました。しかし、「似合う」「顔映りがよい」というのは、主観に左右されることもあります。そのため、パーソナルカラー診断を受けるたびに診断結果が異なる人もいます。
対面型のパーソナルカラー診断で用いるカラードレープは、製造者によって色や素材が微妙に異なります。カラードレープを長年使用していると、色が褪せてくるという問題も存在します。さらに、ネットで閲覧できる色見本やイラストも作成した人や見る環境によって、微妙に色が異なる場合もあります(とはいえ、大半は誤差の範囲です)。
一般的に、ブルーベースの色を身につけると、肌の透明感が上がり、色白に見えます。色白に見えた方が好ましいと考えるカラリストはブルベと診断しやすいため、診断結果はイエベよりもブルベの方が多くなります。同様に、イエローベースの色を身につけて、血色良く健康的な印象になった方が好ましいと考えるカラリストは、ブルベよりもイエベと診断することが多くなるでしょう。
このように、カラリストによって同一人物の診断結果が変わる場合があるため、一概に「ブルベ冬タイプは少ない」とは言い切れません。
肌の色に関する美的感覚は一律ではない
また、こうしたカラリストの感覚も時代によって移り変わります。「色の白いは七難隠す」という諺(ことわざ)があるように、日本では色白=美人というイメージがあります。1980年代のバブル期は、肌が白く見えるという理由で、イヴ・サンローランの青みピンクのリップが流行しました。
しかし、その一方で、1990年代に「コギャル」と呼ばれる女子高生たちのあいだで、肌を黒くする「ガングロ」が流行しています。肌の色に関する美的感覚は時代と共に変化するのです。
「ブルベ冬=色白」と決めつけるのはナンセンス
そもそも、ブルべ冬タイプ=色白と決めつけるのはナンセンスです。日本人向けのファンデーションは、ピンク系とオークル系に大別されます。一般的にブルーベースの人はピンク系、イエローベースの人はオークル系のファンデーションが肌になじみます。「ブルベ=色白」「イエべ=色黒」という考え方が一部では広まっていますが、ブルベでピンク系の濃い色が肌になじむ人もいれば、イエベで明るいオークル系がなじむ人もいます。
パーソナルカラー診断は、アメリカで考案されたものなので、ヨーロッパ系、ラテン系、アフリカ系など、さまざまな肌の色に対応しています。例えば、キム・カーダシアン、アリアナ・グランデ、ウィル・スミスはブルベ冬タイプです。
ブルベ夏よりもブルベ冬が特別だと思うのはなぜ?
「ブルベ冬は日本人には珍しいタイプ」と同じように、「日本人はブルベ夏タイプが多い」というのも、よく聞く俗説の一つです。「ブルベ=色白」という俗説を前提にすると、ブルベ夏タイプは色白のありふれたタイプ、ブルベ冬タイプは色白の特別なタイプ(=美人)という図式になっているようです。ブルベ冬タイプは目立つ色が似合う
私たちの多くは、心のどこかで「目立ちたい」という願望を抱いたり、「目立つ人」を煙たく感じたりするものです。ブルベマウンティングという言葉がある種のネタのように消費されるのは、ブルベ冬タイプへの憧れや嫉妬といった感情が背景にあるのかもしれません。そして、ブルベ冬タイプではない人々が自らの自尊心を高めようとする心理も見え隠れするのではないでしょうか。
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