ささいなことで腹を立てる夫。怒りをコントロールできないようだ
うっかり歯が痛いとつぶやいて
「つい先日、歯が痛くて、夕飯時にヨーグルトを食べていたんですよ。夫がそれを見とがめて『下手なダイエットなんかしないほうがいい』と言ったから、ちょっとムッとして『歯が痛くて食べられないの』と言ってしまったんです、うっかり」そう言うのはマイさん(40歳)だ。“うっかり”というのは、そういうことを口に出すと、必ず夫が「自分のケース」をとうとうと語り出すから。そのときもやはり、「オレだって」を言い出した。
「オレなんか歯が痛くたって仕事をして……と言い始めたので、はいはい、わかってます。あんたはエラい、と茶化したんですよ。そうしたら突然、激昂。『オレがどんな思いで毎日仕事をしているのか知ってるのか』と叫んだ。悪いけど私だって仕事してます、あなたと同じフルタイムです、でも家事は私が9割やってます、と歯痛をこらえながら冷静に低い声で言ったんです」
激昂する夫、冷静に応じる娘と息子
案の定、夫はさらに激昂、手が茶碗に当たってひっくり返し、ご飯が散乱した。それを見ていた10歳の娘が「ああ、もったいない」と言い、8歳の息子は「ご飯がまずくなるね」とふたりとも冷静な発言。「私は子どもたちの反応がおかしくて、つい笑ってしまったんです。もう、夫が激昂するのは見飽きていた。そんなに瞬間湯沸かし器的に怒っていたら疲れるでしょ、とさらに低い声でつぶやいてしまいました」
もちろん、夫の怒りは頂点に達したが、マイさんは「悪いけど物に当たらないでね。何か壊したら修理代が大変だし、娘が言うようにもったいないから。散乱したご飯は自分で片づけてください」と言って、子どもたちを促してキッチンへ。そこには小さなダイニングテーブルが置いてあるので、そちらで食事を続けた。
「夫がわなわなしているのはわかっていたけど、あの人は本当にくだらないことでカッとなる。暴力はふるわないものの、子どもたちが慣れるほどですから、自分がいかにつまらないことをしているか、そろそろわかってほしかったんです」
そんな家族の思いは夫には通じなかった。
>そんな夫とはもはや同じ空間には居たくない