人間関係

夫は「通りすがりの他人より遠い他人」。些細なことで激昂する夫をしらけた気持ちで眺める妻

本当にくだらないことでカッとなり、怒り始める夫。ふたりの子どもたちももはや慣れっこになるほど。暴力こそ振るわないのでいいのだが、もはやフォローする気も無くしらけた気持ちになるばかりだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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一方が激昂すれば、一方が冷静になる。それが夫婦をはじめとするコンビ性なのかもしれないが、相手の激昂をしらけた気持ちで眺めるようになったら、局面はまた違う。
ささいなことで腹をたて、怒りをコントロールできない夫

ささいなことで腹を立てる夫。怒りをコントロールできないようだ

 

うっかり歯が痛いとつぶやいて

「つい先日、歯が痛くて、夕飯時にヨーグルトを食べていたんですよ。夫がそれを見とがめて『下手なダイエットなんかしないほうがいい』と言ったから、ちょっとムッとして『歯が痛くて食べられないの』と言ってしまったんです、うっかり」

そう言うのはマイさん(40歳)だ。“うっかり”というのは、そういうことを口に出すと、必ず夫が「自分のケース」をとうとうと語り出すから。そのときもやはり、「オレだって」を言い出した。

「オレなんか歯が痛くたって仕事をして……と言い始めたので、はいはい、わかってます。あんたはエラい、と茶化したんですよ。そうしたら突然、激昂。『オレがどんな思いで毎日仕事をしているのか知ってるのか』と叫んだ。悪いけど私だって仕事してます、あなたと同じフルタイムです、でも家事は私が9割やってます、と歯痛をこらえながら冷静に低い声で言ったんです」

激昂する夫、冷静に応じる娘と息子

案の定、夫はさらに激昂、手が茶碗に当たってひっくり返し、ご飯が散乱した。それを見ていた10歳の娘が「ああ、もったいない」と言い、8歳の息子は「ご飯がまずくなるね」とふたりとも冷静な発言。

「私は子どもたちの反応がおかしくて、つい笑ってしまったんです。もう、夫が激昂するのは見飽きていた。そんなに瞬間湯沸かし器的に怒っていたら疲れるでしょ、とさらに低い声でつぶやいてしまいました」

もちろん、夫の怒りは頂点に達したが、マイさんは「悪いけど物に当たらないでね。何か壊したら修理代が大変だし、娘が言うようにもったいないから。散乱したご飯は自分で片づけてください」と言って、子どもたちを促してキッチンへ。そこには小さなダイニングテーブルが置いてあるので、そちらで食事を続けた。

「夫がわなわなしているのはわかっていたけど、あの人は本当にくだらないことでカッとなる。暴力はふるわないものの、子どもたちが慣れるほどですから、自分がいかにつまらないことをしているか、そろそろわかってほしかったんです」

そんな家族の思いは夫には通じなかった。

>そんな夫とはもはや同じ空間には居たくない
 
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