人間関係

勝手に不倫して離婚を要求してきた夫が寝室で私にしたこと。「頼む、最後だから」と口走り…(2ページ目)

仲良し夫婦だと思っていたら、夫が学生時代の先輩の妻と浮気。勝手に先輩と話をつけ、自分は離婚をすると決めてきた。さらに荷物をまとめて出ていくときに、信じられないことを口走り……。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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「愛しているのはきみかもしれない」とふざけた発言

家を出ていく日、夫は信じられないことを口走った

家を出ていく日、夫は信じられないことを口走った

夫は離婚届けにサインをし、身の回りのものを持っていくと寝室へ入っていった。春夏ものはあとでまとめて送るからと、寝室に行って声をかけると、夫はいきなりエリさんをベッドに押し倒した。

「何するのよと夫をはねのけました。でも夫は『頼む、最後だから』って。ふざけるなと思いましたね。誰のせいでこんな惨めな気持ちになっているのか、あなたは私に文句ひとつ言う時間も与えずに離婚するって決めつけたのよと怒鳴りつけました。それでも夫は力を緩めない。『本当にオレが愛しているのは、エリなんだと思う』と言い出して」

押しのけたり蹴ったりしたが、それでも夫は力ずくで彼女にのしかかった。彼女は手探りでベッドサイドテーブルの引き出しからペーパーナイフを取り出し、夫に突きつけた。

「ふざけたことしないで、私たちの12年間の夫婦の歴史の最後を汚さないでと叫びました。さすがに夫も怯んだんでしょう。力が抜けたところを押しのけてリビングへと走ったんです。ちょうどそこへ義母から私に電話がかかってきた。何ごともなかったかのように話しながら、寝室の夫のところへ行って電話を渡したんです。母親に説教されている40代半ばの男を見て、これが私の夫だったんだ、情けないとしみじみ思いました」

“ご乱心”夫に武士の情け

夫は電話をきると荷物をまとめ、「ごめん」と出て行った。「もうちょっときれいな最後にしたかったねと嫌味を言ってやりました」とエリさんは苦笑する。

いろいろ考えたが、警察には通報しなかった。ケガはなかったし、結局、夫は何もできなかったからだ。

「武士の情け、みたいな気持ちでした。いざ離婚となって、夫も情緒不安定だったんだろう、と。ただ私、なんとなく夫は不倫相手とは一緒になれないと思っていたんです」

エリさんの予測が当たり、元夫は今、実家で両親と暮らしている。相手の夫への損害賠償を支払っているらしい。さらに相手はやはり離婚はしなかったそうだ。

「浮気がバレたのに離婚できない彼女も、ひょっとしたらつらい立場にいるのかもしれませんね。社内不倫ではないので会社には知られていないのか、夫は淡々と仕事をしているようです。義父母とは今もいい関係なので、ときどき義母が電話で教えてくれるんです」

義母としたら、エリさんが息子とまた結婚してくれればという希望があるのかもしれない。だが彼女は「絶対にそれはない」と言う。

「息子は詳細を知らないんです。まだ11歳ですから、詳細を教える必要はないと思って。元夫は、とにかく自分が悪いのだから、きみはママと一緒に生活しなさいと言ったようです。それは私にとっても救いでしたね」

いずれにしても、夫の“ご乱心”に人生を狂わされたエリさん。それでもなんとか平常心を保てているのは、息子の存在が大きいと少しだけ笑った。
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