脳科学・脳の健康

Q. 寒いとトイレが近くなるのはなぜ?

【大学教授が解説】寒い季節になるとトイレが近くなるのはなぜでしょうか? 寒い場所で体が冷えて、急にトイレに行きたくなった経験は、多くの人にあると思います。なぜ寒いとトイレに行きたくなるのか、わかりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

Q. 寒いとトイレが近くなるのはなぜですか?

寒がる女性

寒いとトイレに行きたくなる回数が増えるのはなぜ?

「寒いとトイレが近くなる」「体が冷えるとトイレに行きたくなる」という経験は、多くの人があると思いますが、なぜでしょうか? 汗をかく量が減るからでしょうか? 意外な理由を、わかりやすく解説します。

Q. 「毎年、冬になると頻尿ぎみになります。夏のように汗をかかない分、トイレに行って水分を出しているのかなと思っていましたが、夏に比べて水分補給をしていないのに、トイレに行く回数ばかり増えるのは不思議です。なぜなのでしょうか?」
 

A. 寒さで皮膚の血管が収縮し、余った血液が尿を作る腎臓などに回るからです。

「寒くて体が冷えると、トイレに行きたくなる」ということは、多くの方に経験があることだと思います。私たち人間は恒温動物で、体温をどの季節も一定に保つことで、体の機能を維持しています。周りが寒いときには、体温が下がらないように、つまり体内の熱を外に逃がさないような仕組みが働きます。その一つが「皮膚表面の血管を収縮させる」ことです。

暑い日に屋外にいると、暑さで顔が赤くなりますね。暑いときは皮膚の血管が拡張して、皮膚へと流れる血液量が増え、その色を反映して肌が赤みを帯びるからです。これとは逆に、寒い日は、外気に触れて冷たくなった皮膚の色が白くなりますね。血管が収縮することで血が流れにくくなり、表面から見える赤みが消えるためです。

一方で、心臓が収縮して送り出される血液量はどの季節も同じです。血液は全身へと送り出されますが、寒いときに皮膚の血管が収縮していると、皮膚に流れていく量は減ります。そして余った血液は、主に内臓に回るようになります。つまり、腎臓の血流量も自ずと増え、その分、尿の生成量が増えて、トイレが近くなるというわけです。

「腎臓の血流量が増えることで、尿量が増える」という点で、コーヒーを飲むとトイレが近くなるのと同じです。コーヒーを飲んだときと、寒いときにトイレに行きたくなる理由が同じというのは、少し意外な面白さがありますね。

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