お金の悩みを解決!マネープランクリニック/40代独身の人のお金の悩み

46歳会社員、貯金550万円。5年後をめどに都内に中古マンションを購入し、一人暮らしを考えております

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、5年後をめどに中古マンションの購入を考えているという46歳の会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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マンション購入金額は2700万円を予定しております

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、5年後をめどに中古マンションの購入を考えているという46歳の会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
マンションの購入費用はいくらまでなら大丈夫?

マンションの購入費用はいくらまでなら大丈夫?

■相談者
シャンさん
女性/会社員/46歳
埼玉県/親の家で同居

■家族構成
父親(75歳)、母親(71歳)

■相談内容
ご相談したいことは以下の3点です。
【1】マンションの購入費用はいくらまで大丈夫か?
【2】現金の貯金のペースはこのままで大丈夫か?
【3】家計の中で引き締めるべきところは?

現在の住まいが都内職場から2時間以上のため、5年後をめどに、都内に中古マンションを購入し、一人暮らしを考えております。頭金を年間120万円貯める計算で、現在は順調に60万円貯まりました。マンション購入金額は2700万円を予定しております。

マンションの購入費用は2700万円ではオーバーでしょうか? 住宅はあまり妥協したくないと思っているのと、できれば妹の近くに住みたいためこの金額となりました。職場は、60歳以降、収入が現役時の7割程度になるそうですが、65歳まで勤務することが可能ですし、そうするつもりです。退職後も収入が不足するようなら週2、3日のアルバイトをやってもいいと思います。

頭金を貯めるようになって現金貯金のペースが落ちたのが心配です。また、老後が心配で退職金積み立てを増やしました。退職金は500万円ほどだと思います。頭金、現金預金、退職金積み立てのバランスはこれで大丈夫でしょうか? iDeCoやNISAを始めたほうがよいでしょうか?

多趣味で友達と会うのも好きで、趣味費や交際費(=こづかい)にお金がかかります。何をどの程度減らすべきでしょうか?

■家計収支データ
相談者「シャン」さんの家計収支データ

相談者「シャン」さんの家計収支データ

■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
マンション頭金用66万円、職場の退職金積み立て用10万円、旅行・被服・趣味・ふるさと納税など20万円、現金積み立て用14万円。

(2)貯蓄について
毎月の貯蓄額8万円の内訳は、マンション購入の頭金用4万5000円、職場の退職金積み立て用2万円(年利1.2%程度)、定期預金での積み立て1万5000円。

(3)投資商品について
日本株は好きな企業を中心に購入し、長期保有で配当と株主優待を楽しんでいます。これ以上、買い増すつもりはありません。

(4)車両費について
交通費として計上した1万5000円は、職場から支出される定期代の不足額(1カ月分)です。車は父の物を借りており、ガソリン代を趣味娯楽費から支出しています。

(5)加入保険について
・医療保険(終身タイプ、終身払い、入院日額5000円、女性疾患特約付き)=毎月の保険料2000円
・医療保険(終身タイプ、65歳まで払込、入院日額5000円、がん特約・先進医療特約・通院特約付き)=毎月の保険料6000円
・個人年金保険(55歳まで払込、60歳から10年確定、年金額50万円)=毎月の保険料1万5000円

(6)退職金について
会社からは500万円ほど。これとは別に職場の退職金積み立てがあり、現在126万円。

(7)公的年金について
現時点で、公的年金の見込み額は72万9600円

(8)住宅購入について
マンション購入後は、家に入れている住居費3万円、不足の定期代の積み立て1万5000円が不要となります。加えて頭金として貯めている4万5000円と、趣味・こづかいや雑費を少し減らして、その分で生活費を賄うつもりです。以前一人暮らしをしていた際は、ほぼ自炊だったので、マンション購入後も食費は抑えられると思います。

独立してマンションを購入した妹(42歳)がいて仲は良好です。私、妹ともに将来的に実家に住むつもりはないので、両親が亡くなったら売却することで2人の間で合意しています。しかし、実家は築40年超で、地方なので、個人的には売却益はないものと考えています。

■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 頭金を多めに準備して、マンション購入は2200万円が上限
アドバイス2 60歳以降の収入減に対応した生活コストの削減を
アドバイス3 66歳で住宅ローンがなくなるが、可能な限り収入を得ること

アドバイス1 頭金を多めに準備して、マンション購入は2200万円が上限

5年後のマンション購入が大きな目標になりますので、どのような資金計画になるか、考えていきましょう。

現在、毎月8万円、ボーナスから90万円の貯蓄ができています。貯蓄は目的別に分けているようですが、ひとまず、どれだけ貯蓄ができるかということで計算していきます。年間で180万円貯蓄できれば、5年後には930万円になります。現在ある貯蓄と投資の合計550万円を加えると、1480万円です。これが5年後のすべての金融資産額ということです。

ここから頭金として700万円、諸費用で150万円を使います。残りは630万円です。頭金を800万円にすれば、借り入れるローンが減りますので、多めに頭金を入れるほうが、生活していく上ではラクになります。ただし、手元に500万円は残るようにしてください。

仮に、頭金700万円で住宅ローン2000万円を借りれば、マンション購入は2700万円が可能になります。ただし、2000万円のローンを15年返済(66歳時点で完済)、金利2.0%で試算すると、毎月の返済額は約12万8700円になります。収入の半分がローンの返済になるというのは、現実的ではありません。

そこで、住宅ローンを1500万円に抑える(つまり、購入価格は2200万円が上限)と、毎月返済額は約9万6550円に収まります。ただし、マンションの場合は、管理費や修繕積立金が毎月発生します。固定資産税の支払いもあります。現在、家に入れている3万円が、こうした固定費に充てられると考えると、毎月9万円ほどは生活コストがアップすると考えてください。

したがってマンション購入後は毎月の貯蓄はできず、さらに1万円程度は生活費の削減が必要になります。貯蓄はボーナスからの90万円。これが60歳まで継続できれば、9年間で810万円。マンション購入時に残っている630万円を加えると、1440万円です。これが60歳時点での金融資産となります。

アドバイス2 60歳以降の収入減に対応した生活コストの削減を

60歳以降は収入が7割程度になったとしても、65歳まで同じ職場で働けるのであれば、60歳時点での金融資産を取り崩さなくて済みます。

住宅ローンが66歳までありますから、生活費は24万円。年間で288万円です。年収が7割になると約272万円ですから、少し不足してしまいます。生活コストを抑えることも考えておいてください。

ただ、退職金で500万円。途中から毎月の積立ができなくなりますが、退職金代わりの積立貯蓄分が金融資産に加わり、さらに個人年金保険の年金50万円の受け取りも始まりますから、無理のない範囲で家計を調整していけばいいでしょう。

教育費の2000円、小遣い1万2000円、雑費1万5000円、趣味娯楽費3万円を合計すると5万9000円です。これらは、自分で調整できる支出です。趣味が多いのはいいことですが、食費を削るのではなく、調整できる支出で家計を管理していくようにしてください。

アドバイス3 66歳で住宅ローンがなくなるが、可能な限り収入を得ること

66歳で住宅ローンが完済すれば、生活費は元の15万円程度に収まるでしょう。

65歳まで金融資産をできるだけ取り崩さないよう、健康に注意して65歳までは頑張って収入を得るようにしましょう。65歳から66歳までの1年間は、住宅ローンがありますので、可能であればパート・アルバイト的な働き方で少しでも収入を確保してください。

65歳からは公的年金の受給が始まりますが、おそらくその時点では公的年金は120万円ほどになっているでしょう。これに個人年金保険の50万円が加わり170万円。支出が毎月15万円なら年間180万円。年間で10万円程度は不足し、金融資産からの取り崩しが始まります。

個人年金保険が終わる70歳以降は、公的年金のみですから、年間の不足額は60万円。70歳時点で金融資産がいくら残っているかにもよりますが、なんとかギリギリ生活はしていけるでしょう。ただし、マンションのリフォームや住宅設備の取り換え、家電の買い替えなど、まとまったお金が出ていくことも予想されます。

マンション購入は2200万円を上限として、その後はボーナスからしっかり貯蓄をする。生活コストの見直しをし、不安が残るようであれば、元気で働けるうちは、できるだけ収入を得る。こうしたマネープランになると思います。

それだけ、マンション購入は大きな決断になるということを忘れないでいてください。

相談者「シャン」さんから寄せられた感想

深野先生、このたびはマネープランを考えていただき本当にどうもありがとうございました。連載の他の記事を参考に自分で予測は立てていましたが、先生のアドバイスはそれとは全く違うお答えでした。素人では考えつかない部分もあり、プロである深野先生に相談できる機会があったことをとても感謝しております。

マンションの購入金額に関しても、購入金額を2700万円と高めに設定していましたが2200万円に減らしてもやや厳しい生活になりそうとのアドバイスでした。あらかじめこの予測を知ることができて非常に良かったと思っています。老後をギリギリで生活するのは不安が残るので、マンションの購入費用だけでなく、購入の有無も含めて再度検討しようと思いました。

一人暮らし後の予算を考える際には、食費を削らないようにという点に、先生の温かみを感じました。その点にも気を付けて生活していこうと思います。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子
 
 
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