手作り弁当が招いた「困った」こと
ところがその後、だんだんと弊害が出てきた。現在6歳になった娘は、彼女の祖母とマユさんの作ったもの以外はほとんど食べない。友だちの家に遊びに行くときも、祖母がおやつを持たせているそう。「それもあとから知ったんですよ。義母はずっと『ばあばとママが作ったもの以外は食べてはダメよ』と吹き込んだらしい。しかも義母は超きれい好き。だからなんでしょう、娘もちょっと何かを触ったらすぐに手を洗う。手洗いはいいことだけど、食事前はもちろん、食後もすぐに手を洗うんです。絵本を読むときも、前後で手洗い。1日何回洗ってるのと驚くくらいです」
コロナ禍で保育園が閉園していた時期、マユさんも在宅で仕事をしていたので、娘の手洗いの頻度に気づいた。そんなにしょっちゅう洗わなくても大丈夫よと声をかけると、娘は「全部汚いんだよ」と答えた。そこまで神経質になったら、小学校に上がってからが大変だとマユさんは義母にやんわりと言ってみた。
「人が作ったものは全部食べられず、やたらと手洗いばかりするような神経質な子だとこの先困るような気がするんですと言ったんですよ。そうしたら義母は『大丈夫。私がフォローするから』って。小学校の給食も食べさせないつもりらしい。夫もそうだったのかと尋ねると、『以前から少し潔癖症的なところはあったけど、あんなにひどくなかった』って。義母自身は潔癖症だからといって別に困っていることはないから、自覚がない」
娘が極度の潔癖症になってしまった……
マユさんは時間をかけて、娘に「お友だちのお母さんが作ったクッキー、一緒にいただこうね」と声をかけながら、少しずつ娘の潔癖症を治そうとしているが、「でもおばあちゃんがダメだって」と娘が泣きそうになるのを見て困惑した。今後も世話になることがわかっているので、義母の手助けはいっさいいらないと言い切ることもできない。なにより夫が大ごとだととらえていないのも気になる。
「来年からの小学校でも、義母はお弁当を持たせると言っていますが、これをどう阻止するかが問題。義父は義母のやることには無視を貫くという姿勢なので、相談にのってもらえません。学校と相談していくしかないのかもしれないと思っています。もしくは少しの間、私が休職することも考えています。娘の将来のために」
義母がかなりの潔癖症であることを、夫は本当に知らなかったのだろうか。それを知っていたら、マユさんは「義母を頼らなかった」と言う。
今は食べ物と手洗いだけだが、このまま義母に任せていたら、もっと娘の行動が制限されていくはず。「もっと広く自由に行動させてやりたい」ので、あちこちに相談しながら対策を練っていくつもりだと言う。