貯蓄が多い人の共通点とは?
さて、質問です。あなたは次の3つのうち、どれに当てはまりますか?1. 生活設計を立てている
2. 現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである
3. 現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない
このなかで「1. 生活設計(※1)を立てている」と答えた人ほど、貯蓄額(※2)が多いという調査結果があります。
(※1)ここでいう「生活設計」とは、家計全体における資産と負債のバランス、過去1年間の家計運営、老後の生活についての考え方などを指しています。
(※2)引用元の調査では「金融資産保有額」ですが、当記事では便宜上「貯蓄額」という表現を使用しました。また、例えば翌月のカード引き落とし代など、日常的に使うために一時的に貯めているお金のことではなく、「将来のために備えている貯蓄や運用のためのお金」をここでは「貯蓄」とします。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」(2022年)の「生活設計策定の有無」という項目を見ると、次のような傾向がわかってきました。
「生活設計を立てている」人の傾向
「生活設計を立てている」と答えた人の貯蓄額ごとの割合は?・貯蓄ゼロ:17.3%
・貯蓄100万円未満:29.2%
・貯蓄100万~200万円未満:26.4%
・貯蓄200万~300万円未満:35.7%
・貯蓄300万~400万円未満:36.4%
・貯蓄400万~500万円未満:30.2%
・貯蓄500万~700万円未満:35.9%
・貯蓄700万~1000万円未満:41.3%
・貯蓄1000万~1500万円未満:48.2%
・貯蓄1500万~2000万円未満:50.2%
・貯蓄2000万~3000万円未満:57.1%
・貯蓄3000万円以上:61.5%
上から順番に見ていくと、貯蓄が多くなるにつれて、「生活設計を立てている」という人も増えていることに気づくのではないでしょうか。
貯蓄1500万円以上からは50%を超えていて、貯蓄が3000万円以上の場合は、6割の人が「生活設計を立てている」と答えています。
貯蓄が多いことと、生活設計を立てていることと、どちらが先かはわかりませんが「生活設計」をしっかり立てていることで、貯蓄が増えたケースも多いのではと考えられます。
「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」人の傾向
次に、「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」と答えた人の貯蓄額ごとの割合を見てみましょう。・貯蓄ゼロ:40.5%
・貯蓄100万円未満:49.7%
・貯蓄100万~200万円未満:53.8%
・貯蓄200万~300万円未満:49.6%
・貯蓄300万~400万円未満:51.9%
・貯蓄400万~500万円未満:58.6%
・貯蓄500万~700万円未満:49.0%
・貯蓄700万~1000万円未満:45.6%
・貯蓄1000万~1500万円未満:37.6%
・貯蓄1500万~2000万円未満:35.9%
・貯蓄2000万~3000万円未満:30.1%
・貯蓄3000万円以上:24.3%
全体を眺めてみると、基本的には貯蓄が少ないほど、「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」と答えた人の割合が多いですよね。
「今後は立てるつもりである」という人は、次の2つのタイプに分かれるのではないでしょうか。
「生活設計を立てたほうがいいな……」と思っているけれど先のばしにするタイプと、「生活設計を立てなきゃ」と思って実際に行動するタイプです。
後者なら、素晴しいです! ぜひ少しでも早く行動に移しましょう。前者なら、「生活設計」を立てる必要性は感じているのに、行動に移せていないのはもったいないですね。ぜひ、何かしらの行動に移してみましょう。
「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」人の傾向
最後に、「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」と答えた人の貯蓄額ごとの割合を見てみます。・貯蓄ゼロ:42.2%
・貯蓄100万円未満:21.1%
・貯蓄100万~200万円未満:19.8%
・貯蓄200万~300万円未満:14.7%
・貯蓄300万~400万円未満:11.7%
・貯蓄400万~500万円未満:11.1%
・貯蓄500万~700万円未満:15.2%
・貯蓄700万~1000万円未満:13.1%
・貯蓄1000万~1500万円未満:14.2%
・貯蓄1500万~2000万円未満:13.9%
・貯蓄2000万~3000万円未満:12.8%
・貯蓄3000万円以上:14.2%
貯蓄ゼロの人の「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」と答えた割合が4割もいて、際立って多いですね。貯蓄が増えるにつれて「今後も立てるつもりはない」という割合は減る傾向にあることがわかります。
とはいえ、貯蓄が多い人でも、1~2割の人は「生活設計を立てるつもりはない」と答えています。
貯蓄が足りているため、生活設計の必然性を感じないのかもしれません。しかし、一度立ててみることで、今後の生活のしやすさがアップするはずですので、ぜひ、試してみることをおすすめしたいです。
では実際に「生活設計を立てよう」と思ったら、どうすればよいのでしょうか。2つのステップでお伝えしましょう。
ステップ1:人生における「お金の使い時」を考える
人生のなかで、お金の「貯め時」と「使い時」の2つがあります。「使い時」とは、結婚、新生活スタート、資格や留学などの自己投資、住宅購入、子どもの受験・入学などのイベントがあるときです。
例えば、子どもの私立校への進学や留学などで、お金が多くかかることもあるでしょう。また、老後に収入がなくなる時期や、病気や失業した時期なども「お金の使い時(かかり時)」といえます。また、それほど大きな出費ではなくても、「旅行」「憧れのものを購入」というときにも、大きなお金が必要ですよね。
病気や失業などは予測できませんが、それ以外はある程度予測ができるお金です。子どもの進学なら、私立か公立かなどの選択によって、出費はかなり変わります。今後の人生を想像して、「どんなものに」「いつ」「いくらくらい」お金が必要になるのかを考えてみましょう。
ステップ2:「貯め時」にガッチリ貯めて「お金の使い時」に備える
先ほど、お金の「貯め時」と「使い時」の話をお伝えしましたが、「使い時」以外の時期は、大きな「貯め時」です。支出が多くない時期なので、余裕があると感じてお金をどんどん使っていると、いざ「お金の使い時」がやってきたときに困ってしまいます。「使い時」以外の時期は、将来の「お金の使い時」に備えるためにも、家計を引き締めて月々の貯蓄額を少しずつ増やしていきましょう。
以上、生活設計を立てることと貯蓄の関係についての考察をお伝えしました。生活設計を立てることで、人生の重要な「使い時」にお金を使うことができ、より豊かな生活を築くことができます。
また、調査結果にも表れているように、生活設計を立てることで、貯蓄アップにもつながっていくでしょう。現在「生活設計を立てていない」という人は、ぜひ上記を参考に生活設計を立てて、豊かな人生につなげていきたいですね。