公務員が退職した後の健康保険
公務員の共済組合には健康保険の働きもあります
全国の公務員が加入する共済組合は「国家公務員共済組合」「地方公務員共済組合」「私立学校教員共済組合」に大別されています。共済組合には短期給付という事業があり、本人(被保険者)やその家族の病気・負傷・出産・死亡に対する給付を行っています。これは会社員における健康保険(協会けんぽ、健康保険組合)の働きを持つ事業だと考えれば分かりやすいかと思います。つまり健康保険と同じように、医療機関を受診した際は窓口負担が一部で済むことや、出産で仕事を休んだ際は出産手当金の支給、病気やケガで入院した際には傷病手当金が支給されます。
なお短期給付には災害給付もあり、これは健康保険制度にはない共済組合独自の制度として知られています。
退職後の任意継続組合員制度とは?
公務員を退職し共済組合の組合員でなくなると、短期事業サービスは受けられなくなりますので、特に問題となるのは退職後の健康保険ではないでしょうか。そのため退職後もこれまで加入していた共済組合に2年間を限度として継続して加入することで、在職時と同様に短期事業サービス(一部の給付を除く)を受ける方法があり、任意継続組合員制度と呼ばれています。
任意継続組合員になるための要件は?
任意継続組合員になるためには、下記に示す一定の要件が必要です。【1】退職日の前日までに、継続して1年以上の組合員期間があること
※例えば4/1採用、翌年3/31退職の場合、組合員期間は1年未満のため加入不可
【2】退職日を含めて20日以内に所定の様式により申出、かつ初回掛金を払い込むこと
【3】他の健康保険の被保険者でないこと
任意継続組合員の掛金はいくら?
任意継続組合員の掛金は、掛金の標準となる額×掛金率となります。掛金の標準となる額は、次のうち、いずれか低い額となります。
【1】退職時の標準報酬月額(*1)
【2】共済組合の全組合員の前年度9月30日における平均標準報酬月額
なお掛金率は各共済組合で異なりますので、詳細は各組合にご確認ください。
*1:標準報酬月額とは毎月の給与など「月額の報酬」を一定の幅で区分したもので、各種保険料を計算する際に利用されます
任意継続加入は2年間が上限です
退職後に任意継続組合員になれるのは、2年間が上限です。なお退職時に任意継続を選択していたものの、家族の健康保険の被扶養者となれる状況や、国民健康保険を選択した方が保険料は安くなる状況(国民健康保険料は前年所得や世帯人数で決まるため退職後に無収入となったことにより、2年目以降は国民健康保険の保険料の方が安くなることがある)となった場合には、組合に申し出ることで途中での脱退も可能です。まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は公務員の任意継続組合員制度についてまとめてみました。会社員の健康保険は退職日まで2カ月以上被保険者であれば任意継続が可能ですが、公務員の場合は退職日の前日まで継続して1年以上の組合員期間が必要など、任意継続組合員制度は会社員が健康保険を任意継続する要件と一部異なる点があります。
また在職中は給与天引きであった掛金を、退職後は自ら期日までに納める必要があるなど、任意継続組合員になる際は注意点があるため、詳細は各組合に確認することをお勧めいたします。
〈参考〉
農林水産省共済組合
公立学校共済組合
地方職員共済組合
全国健康保険協会(協会けんぽ)