オレはモテると匂わせる夫
夫がやたらと「モテる」アピールをしてくることが、どうしても理解不能だと言うサキコさん(38歳)。4歳年上の夫とは、共通の友人を通して知り合った。サキコさんの一目惚れから交際スタート、1年つきあって結婚に「こぎつけた」のだという。「とにかく顔がタイプだったんです。この顔を毎日見ていたいと思った。つきあってみたら性格的にも合うし。ただ、当時彼は結婚する気がなかったみたい。私たちを引き合わせてくれた共通の友人が家庭を持っていたので、結婚って幸せだよと説得してもらいました」
結婚して5年、今は4歳と2歳の子を育てながら、彼女自身もパートで仕事をしている。夫とはうまくいっていないわけではないし、サキコさんは今も「夫の顔が大好き」なのだが、子どもが産まれてからは、とにかく子ども最優先の生活が続いている。
「それは当然ですよね、どこの家庭もそうだと思う。でも夫はときどき、『サキちゃんはオレのことが好きで結婚したんだよね』と確認をとってくるんですよ。子どもたちに私の愛情が向きすぎて、自分が愛されていないと思い込んでいる」
だから夫の出勤時には必ず「行ってらっしゃい、愛してる」と言うようにしてきた。それでも夫は帰宅して子どもの世話に追われているサキコさんを見ると、ため息をついた。
「おかしいでしょ。あなただって親なんだから、子どものめんどうを見てよと言ったら、『サキちゃんがそんなことを言うなんて』とガックリするんですよ。ふたりで子どもを育てていくんだよと言っても、ピンとこなかったみたい。最近は、上の子と話ができるようになったので少し変わってはきましたが……」
それでも夫はサキコさんの関心を引きたいらしい。このごろ、「オレって意外とモテるんだよ」というアピールが増えた。
「『仕事で取り引きのある会社に行ったら、担当者の女性と話が合って、今度飲みに行こうということになったんだけど行ってもいいかな』と言い出して。今まで飲みに行くのに了解を得ようとしたことなんてなかったのに。『会社の後輩からも相談に乗ってほしいって言われててさ、オレ、けっこう女性ウケいいみたいなんだよね』とも言っていました」
夫婦関係は破綻しても仕方ない
サキコさんの受け止め方は、ここ数年で変わった。以前だったら、夫の気持ちが他の女性に移ったらどうしようと焦る気持ちもあった。だが今は「家庭を崩壊させたいならしてみろ」とすら思っているという。「子どものことに責任をもってくれるなら、夫婦関係は破綻してもしかたがないのかなと少し思うようになりました。あまりにも夫が“子ども”すぎて、理解不能なんですよ。私は夫婦でタッグを組んで、穏やかな家庭を作り子どもにも向き合っていきたい。でも夫はそうは思っていない。結婚して5年たつうちに夫は完全に子どもに返ってしまいましたから」
いつまでも妻が甘やかしてくれると思ったら大間違い。そう苦笑しながらも、サキコさんがついたため息は深かった。