人間関係

「何年主婦やってんだよ」「このクソ暑いのにアイロン?」39歳主婦に夫を“諦める”瞬間が訪れた(2ページ目)

妻の些細なミスを見ては鼻で笑いバカにする態度をとり続ける夫に対し、不満が積もり続け家庭生活にほとほと嫌気が差す。ただ、残念ながら夫は妻の気持ちに気が付くこともなく、態度が改まる気配もない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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「うまくやる」ってどういうこと?

夫と諍(いさか)いを起こさないためには、自分が「なにも言わない」ことしかないとトモカさんは思うようになった。夫が鼻で笑っても、「ほうらやっぱり、やると思った」とミスをおおげさに揶揄(やゆ)されても、トモカさんは言い返すのをやめた。

「それなのに夫は、月に1回くらい風呂掃除をすると、『ほら、やっぱりオレがやるときれいになるだろ』とアピールしてくる。以前なら、そうね、ありがとう、本当にきれい、助かるわあと言っていたのに、そういう言葉が出なくなっていきました。自分の心が固くなっていくのがわかった。夫のことが本当に嫌になっているのと、もうこの家庭に縛られていたくないとも思うようになっていたんです」

自分の言動が心からのものではない、と思ってから、自身の本音に気づく。そういう状態を彼女は繰り返してきたのだろう。本音があっての言動ではなく、言動からようやく自分の本音を見つめる。そういった日常に彼女は疲れていった。

「去年の秋、夫の亡父の法要やら、体の弱った母親の今後の相談だのといろいろあって、夫が1週間ほど実家に戻っていたことがあるんです。その間、私は娘とふたりきり。夫は出張などのない仕事なので、1週間も留守にしたのは結婚して初めてでした。私、本当に気持ちだけでなく体まで軽くなるほど解放感があったんです。娘とふたりで笑いながら毎日を過ごしました」

自分の本音を認めた瞬間

夫がいなくなればいい。そんな思いが心の底からわいてきて、彼女はあわてて「そんなことを考えてはいけない」と自分を制した。彼女が初めて自分の本音を認めた瞬間でもある。

「それ以来、夫がいなくなればいいとずっと思っています。もちろん、その前に離婚ということも考えたほうがいいのだけど、離婚に踏み切るのは大変。経済的な問題もありますしね。夫が朝、出かけるたびに帰ってこなければいいのになあと思いながら見送るのも、最近、つらくなってきました」

自分がこれほど夫を嫌だと思っていることに、夫は気づいていないと思うとトモカさんは言った。自分から夫に寄り添って、いろいろ話せばいいのかもしれないと感じてはいるが、すでにその気力もモチベーションもなくなっているようだ。

「夏休み、みんなでドライブしながらどこかに行こうか、海がいいか山がいいかと夫は先日もはしゃいでいましたが、私は同じテンションで返事できなかった。娘はちらちらと私の顔色をうかがっている。それもあって、なんとか仲良くしなければとは思うんですが」

気乗りのしないトモカさんの雰囲気を夫が察することはない。結局、夫の発案で海辺のリゾートホテルに泊まることになった。古い水着を出していると、夫がすかさず「もう着られないだろ、それ。そもそもきみが水着になることもないんじゃない?」と笑いながら言った。

「その瞬間、『自分の妻をバカにするのもいいかげんにしたら?』ととてつもなく冷たい口調で言ってしまいました。夫は一瞬、びっくりしたみたい。だけど『冗談も言えないのか、いやだいやだ』と言ってリビングを出て行きました」

夫が反省した様子はない。これからも変わることはないだろう。トモカさんは、いつどうやって「夫を諦めるべきか」を考え始めている。
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