まずは別居、それから離婚まで1年半
「5年前のことです。僕が妻の友だちと関係を持ってしまい、当然ながら妻は激怒。双方の両親にすべてをぶちまけて、当時9歳と6歳だった子どもふたりを連れて家を出て行きました」ケンタさん(45歳)は遠い目でそう話した。探偵事務所の報告書を突きつけられ、土下座して謝ったが許してもらえなかった。妻はその場で、ケンタさんの両親に電話。翌日には自分の実家にも話し、子どもを連れて実家に戻った。
「毎週末、妻の実家に行って謝りました。うちの両親も来て一緒に謝った。だけど妻の気持ちは変わらなかった」
弁護士から連絡があり、離婚協議を進めたいと言われた。拒むと調停に持ち込まれた。妻とはほとんど話していない。調停は決裂し、裁判になった。
「妻とは学生時代からのつきあいなんです。当時は単なる友だちだったけど、卒業後に就職した会社が近かったことからときどき食事をするようになって。周りから羨ましがられるほどラブラブでした。28歳のときに結婚したけど、ずっと仲はよかったし、共働きを続けながら協力しあっている実感があった」
だったらなぜ浮気したのかとよく言われると、ケンタさんは苦笑いした。妻の友人のナオコさんから突然連絡があった。ナオコさんはよく家にも遊びに来ていたから、ケンタさんも友人だと受け止めていた。
「僕にも下心があったんでしょうね」
「ナオコが離婚したいから相談に乗って、と。最初は妻にも話していたんですが、そのうち妻に言いづらくなって……。僕にも下心があったんでしょうね。ナオコとはどんどん親しくなっていって、とうとう関係を持ってしまった。妻とは仲はいいけどセックスレスという状態でしたから、僕自身も寂しかったのかもしれない」関係が半年続いたところで、いきなり報告書を突きつけられたのだ。言い訳はできなかった。1年半後、離婚届にサインしたとき、妻と久しぶりに会ったが、妻はなにも言わなかった。彼は「今までありがとう。ごめんね」と言ったそうだ。
「それでも今思えば、すぐに別居したのは悪くなかったかもしれません。罵り合わずにすんだから。でも一方で、もっと言いたいことを言い合える関係だったら修復できたのかもしれないと思うこともあります」
14歳と11歳になった子どもたちとは、連絡をとりあって好きなときに会っている。そこだけは妻に感謝しているとケンタさんは言った。
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