人間関係

60代の離婚に勇気づけられる妻たち。熟年離婚は「正直面倒」「経済的に不安」でも、もう嫌!

元気があるけどまだ仕事も忙しい50代の離婚もあるが、子どもも巣立ち、定年も間際になってからの“還暦離婚”する女性も多くいるという。経済的自立さえあれば、もうこの人から自由になろう、という女性も多いのだろう。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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厚生労働省の統計(2020年、人口動態統計特殊報告)によれば、20年以上連れ添ったいわゆる『熟年離婚』は21.5%と過去最高を記録したが、芸能界でもこのところ、60代女性芸能人の離婚が相次いで報じられている。

28年にわたる結婚生活を解消した田中美佐子(63歳)、結婚29年にして離婚した香坂みゆき(60歳)、そして熊谷真実(63歳)も2年前、18歳年下の夫との離婚を発表した。さらについ先日、歌手の岩崎宏美(64歳)も、10歳年下の夫と離婚したことを公表した。
還暦近くになっての離婚も選択肢に

還暦近くになっての離婚も選択肢に

60代前半、まだまだ気持ちも体も充実している。経済的な問題さえクリアできれば、第二の人生は、「この夫といるより、ひとりになったほうがいい」と決断を下しても不思議はない。もはや「我慢」するのはいいことではないと多くの女性たちが考えているのかもしれない。

早く離婚をと思っていたけれど

そんな60代女性たちの離婚を聞いて、「勇気がわいてきた」と言うのはサエコさん(47歳)だ。結婚15年、中学生と小学生の子どもたちがいるが、数年前から夫との関係はギクシャクしている。

「子どもの前でケンカはしないと結婚当初から約束しているので、派手に言い争ったりはしていませんが、夫への不信感は日に日に増しています。夫には付き合っている女性がいるみたいだから」

ここ数年、夫は無断で帰宅が遅くなることが多くなった。最初は忙しいのではないか、体調は大丈夫かと心配していたサエコさんだが、心配すると不機嫌になる夫を見て「かまってほしくないんだ」と気づいた。そこには夫の後ろめたさがあるのだろう、と。

「放っておいたら、夫は平然と外泊するようになりました。今は週2回くらいは帰ってきていません。私もフルタイムで働いているので、家で食事をするときだけ夕方までに連絡してと伝えてありますが、平日、家で食べることはほとんどない。週末だけは家にいたんですが、子どもたちが友だち同士で出かけるようになったので、今は土日のどちらかは出かけていきますね。もごもごと『仕事でさ』とつぶやきながら出ていくんですが、私は反応しません(笑)」

ギクシャクした夫婦関係に娘からの鋭い指摘

冷戦状態かと思いきや、そういうわけでもなさそうだ。「ギクシャクしている」のが平常運転になっているだけとサエコさんは苦笑する。

「お互いを気遣って、あまり話しかけない感じ。でも夏休みや冬休みは家族で出かけることもあります。そういうときはふたりともスイッチを切り替えるんでしょうか。なにげない会話をしたりもします。子どもたち向けのパフォーマンスに近いですけど」

中学生の長女は「ママたち、いつ離婚するの?」と言ったことがある。もう子どもたちにも夫婦の関係が壊れかけているように見えているのだろう。

「元気が残っている50代のうちに離婚しようと漠然と考えていたんですが、今回、60代の芸能人たちの離婚を立て続けに聞いて『そうか、60代になってからでもいいんだ』と思いました。今はお互いにフルタイムで働いているから、正直言うと離婚も面倒なんです。でも退職が見えてきたら子どもたちも大人になっているし、退職後を本格的に考える段階で離婚もセットにすればいいか、と。もちろんそれ以前に耐えがたいことがあれば離婚しますけど」

今は子どものために我慢しているという感覚ではない。今も「夫を無視さえすれば、生活に支障はない」から、このままでもいいということだそう。

「早く離婚したほうがいいという妙なプレッシャーがあったんですが、焦らなくてもいいと思えるようになったので気が楽になりました」

>娘から「プライドを持ちなよ」といわれて

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