人間関係

谷崎潤一郎の小説に青ざめ、夏祭りの浴衣着用に禁止令…娘に厳しすぎる夫がストーカーに?(2ページ目)

娘が小さい頃は甘やかすだけ甘やかしていた夫だが、すこし大きくなってきた近頃は、どうやら心配が勝ったようだ。友だちと夏祭りにいった娘の後ろからストーカーのようについていったとか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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娘の意志と判断を信じて

娘が小学校高学年になるころには、ナツキさんの相談相手にもなってくれた。少し早熟なところが気にはなっていたが、娘の気持ちを尊重するようにも心がけた。

「中学に入ると、ほぼ大人扱いしていましたね、私は。娘がそれを望んでいたし。でもあくまでもまだ子どもだという意識も持っていました。だからうちは子どもだけの遠出はさせていません。クラブ活動をやっているので、あまり遊びに出かけることもないけど、子どもだけでディズニーランドに行くと言ったときも、その親たちと連絡を取り合い、結局、私ともうひとりのママとで子ども5人を連れていきました」

そういう面では厳しくしているが、内面の自由は確保するべきというのがナツキさんの考え方。ところがあれほど甘やかしていた夫は、読む本や漫画まで規制しようとする。

「エロいコミックなどはまだ早いと思うけど、小説などは読みたいなら読めばいいと私は思っています。先日は谷崎潤一郎を読んでいました。夫は青ざめていたので、いいじゃない、文学だものと夫を制しました。夫はぶつぶつ文句を言っていたけど」

さらに夫は近所のお祭りに娘が浴衣を着ることにも大反対。友だち同士で浴衣を着てお祭りに行く約束をしたのにと娘はむくれた。

「お祭りくらいいいじゃないですか。その代わり、夕方までには帰ってらっしゃいと言い、娘を送り出しました。すると夫、こっそりあとをつけていったみたい。帰ってきた娘が、『おとうさんがストーカーみたいで気持ち悪い』と大激怒していた。もっと娘を信じようよと言ったら、『今どきはオレたちの時代とは違うんだ。女の子は気をつけなければ』って。その気持ちもわかるけど、だからといって父親がずっとあとをつけるのも気持ち悪いよと言ったら、夫はひどく不機嫌になってしまいました」

夫はこれからどんどん大人の女性になっていく娘のことが心配でならないらしい。今から「高校生になったら門限は夕方6時だからな」と言っている。まだどこの高校に行くかさえ決まっていないのに。

「女の子は自分を大事にしなければならないんだと、妙な純潔教育までしようとしているので、娘には『あなたには大人の判断ができる女性になってほしいという意味。おとうさん、あなたのことに関しては心配を通り越しちゃってるから』とフォローしておきました。心配だからと娘をガチガチに束縛するのはよくない。娘は高校での留学も視野に入れているようなんです。今どき、海外で自分を磨きたい子は減っているというのに。私は娘の前向きな気持ちは応援したいと思っていますが、夫は『きみみたいに何でもいいよと言っていたら、ろくな大人にならない』とまで言い出して」

娘を心配するあまり、娘の人生から自由を奪ってはいけない。それをどうやって夫にわかってもらうか、それがこれからの課題だとナツキさんは真顔で言った。
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