ある日、母から衝撃の電話が
母親から衝撃の電話、普通じゃない雰囲気だけが伝わってきて……
「数カ月前、私が在宅で仕事をしていると、母から電話があったんです。でも、電話に出てもなにも言わない。どうしたの?と聞いてもアワアワしてるだけ。『なに、具合が悪いの?』とあわてて聞くと『違う、でも……とにかく来て!』と。仕事を放り出して走って行きました」
すると家の中には、3歳くらいの男の子を連れたマキコさんと同世代の女性が座っていた。母親はふたりを見下ろすように立ち尽くしている。マキコさんは母に「どうしたの」と聞いた。
「すると母が、『この子がお父さんの子だって言うのよ』と小声で言うんです。私には5歳年上の姉がいて、父は77歳。しかもまじめが取り柄みたいな人で、母からもついぞ父が浮気したなんていう話は聞いたことがない」
その日、父は家にはいなかった。会社員時代の友人に会うと言って出て行ったそうだ。「とにかくあんた、話して」と言うなり母は、キッチンへ行ってしまった。
「しょうがないですよね。私は娘ですが、あなたさまはどなたで……と聞きましたよ。すると彼女は落ち着いた様子で名乗り、『お父様とは10年にわたってお付き合いをさせてもらっています』って。父は70歳まで働いていました。どこで出会ったか尋ねると、父の会社近くの飲食店だと。彼女はそこのオーナーの娘で、今もお店を経営しているそう。なれそめに不審な点はなかった」
いろいろ尋ねてみると、認知をしてほしいというのが彼女の主な要求だった。子どもは自分ひとりで育てていく。最初からそういう話になっていた。だが、認知はしてくれるはずだった、と。
「そりゃお父さんが悪いわと思わず言ってしまいました。それで彼女が笑ったんですが、とてもチャーミングな女性でしたよ。お父さん、やるじゃんと一瞬思ったけど、母のショックを考えるとそんなのんきなことは言ってられなかった」
そこへ父が帰宅した。リビングに入るなり、全身が凍りついたように固まっていたという。
>籍を抜け、離婚しろ!とわめかれて