人間関係

「たぶん彼らは見抜いている」。DV家庭で生まれ育ち、逃げ出して、結局DV夫と結婚した私

気分によって機嫌が左右される大人に囲まれ暴力も日常茶飯事で育ち、1度目の結婚ではDV夫にとらわれてしまった女性。弟によって助け出され、今は再婚したという彼女の現在は……。おそらくこれは、レアケースなのかもしれない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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今でこそ「DV」は一般に浸透したが、祖父母の代にはそんな認識さえなかったかもしれない。粗暴な男が暴力をふるい、女たちがそれを恐れながら生きている状態は、あちこちにあっただろう。
暴力が日常だった家庭で育った女性は今……

暴力が日常だった家庭で育った女性は今……

 

祖父の暴力に怯えて暮らした

「私は地方の小さな町の兼業農家で産まれ育ちました。父方の祖父母と同居で、無職の叔父もいた。祖父と叔父がお酒を飲んでは代わる代わる暴れるんです。ときにはふたりが大ゲンカになることもあったし、それを止めようとした父母が殴られたりもしていた。

父は父で、そういうことでストレスがたまるのかもしれないけど、何かあると母に暴力をふるうこともありました。母は気分がいいと私と弟を猫かわいがりするけど、機嫌が悪いとごはんも作ってくれない。いつもそうではないけど、数カ月に1度は家の中がめちゃめちゃになるようなことがありました」

つらい過去を語ってくれたのは、マユさん(39歳)だ。今でも夢に見て飛び起きることがあるという。誰も味方になってくれず、彼女と弟は近所の人や親戚が親切にしてくれるときだけ頼って暮らしていた。継続的にめんどうを見てくれる人はいなかった。

「2歳年下の弟が高校に上がるのを機に、親戚が彼を引き取ってくれることになった。私はそのまま高校を中退して上京しました。いろいろな仕事をしてきたけど、18歳のときに下町の工場経営者に出会って、仕事をしながら定時制の高校に通って。社長の家に住まわせてもらった時期があったんですが、そこで初めて、人間ってそんなに暴力をふるうものではないんだとか、不機嫌になったり上機嫌になったりせず、気持ちが一定している人が身近にいる環境を味わったんです」

びくびくしながら暮らす必要はない。そう思っていたのもつかの間、彼女が22歳で結婚した相手がDV夫だった。工場をやめて祝福されて結婚したのに、夫はときどき暴力をふるった。

「今になって思うけど、たぶん彼らは見抜いているんですよ。暴力をふるってもかまわない相手を。それがDV家庭で育った私の落とし穴だった」

ああ、やはり自分はこういう環境から抜け出せないんだと彼女は自暴自棄になりかけたこともある。

>再会した弟が地獄から助け出してくれた

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