子供の病気

子どもに多い「吃音(きつおん)」とは…どもりの原因・症状・治し方

【小児科医が解説】話すときにどもったり、不自然な間ができたりする「吃音(きつおん)」。2~5歳頃から見られる、子どもに多い発語障害の一つです。成長とともに多くは自然に治りますが、症状が残るケースもあります。原因・症状・治し方・親や身近な大人が配慮すべき注意点を、わかりやすく解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

吃音(きつおん)とは……「どもり」が起こる発語障害

子どもの吃音

吃音の症状がある子どもに「ゆっくり話しなさい」は禁句? 正しい接し方とは(画像はイメージ)


吃音は、話し言葉が流暢に出ない発語障害の一つで、いわゆる「どもり」です。吃音は二語文を話し始める2~5歳頃から見られ、約7~8割は自然に治っていきます。ただし、2~3割は大人になっても残ることがあります。

吃音の症状、注意点、治療法について、わかりやすく解説します。

<目次>  

吃音の症状……音の繰り返し・引き伸ばし・間の出現

「吃音」と一言で言っても、症状の出方には個人差があります。主に以下の3つの症状に分けられます。
  • 音の繰り返し……特に最初の言葉を繰り返します。(例)「わ、わ、わたし」など
  • 引き伸ばし……ある単語を伸ばして言います。(例)「わーーーたし」など
  • 間の出現……言葉が出ずに間ができ、「難発」「ブロック」とも言います。(例)「……わたし」など

吃音の分類……発達性吃音と獲得性吃音

吃音の原因は、大きく2つに分けることができます。「発達性吃音」と「獲得性吃音」です。

■発達性吃音
吃音のうちの9割を占めます。2~5歳に発症し、幼児の発症率は約8%、有病率は約0.8%、男児に多く見られます。原因としては、遺伝も含めた吃音になりやすい体質、発達時期の影響、周囲の人や生活上の出来事などがあります。

■獲得性吃音
神経疾患や脳損傷によって発症します。心的なストレスや外傷体験によって起こる吃音です。発症時期は青年以降です。
 

吃音を悪化させないための注意点

吃音が進むと、話そうとしても最初の言葉が出なくなることが増えます。吃音が出た時に、笑われたり、「ゆっくり話してごらん」と注意されたり、周りの反応を見てうまく話せなかったと感じたりすることで、話すことが嫌な記憶や不快感と結びついてしまいます。

こうなると、話すこと自体に嫌悪や不安を感じるようになり、「最初の言葉が出ない」という症状に悩むことになります。

特に親や先生など、周りの大人が、吃音を悪化させるような言動をしないことが大切です。
 

子どもの吃音の症状への対処法・吃音の治療方法

吃音は原因がわからないことが多いため、治療方法も確立していません。吃音がある子どもの場合、調子が良い時と悪い時があります。親や身近な大人ができることは、吃音を指摘して、子どもを焦らせないことです。

最初の言葉が出にくい場合、ちょっとした工夫をしたことで、話せるようになるケースもあります。例えば、最初に「あのー」という言葉を付けることで、その後の言葉がスムーズに出てくることもあります。

子どもの場合は、気になる症状はまずは小児科で相談をされるのがよいでしょう。症状の度合いによって、耳鼻科、リハビリテーション科(できれば言語聴覚士が在籍)、心療内科などでも診察を受けることができます。病院で行う治療法としては、症状にあわせて、抗不安薬などの薬物療法や、行動療法、環境整備などがあります。

最初にもお伝えしましたが、吃音の多くは自然に治っていきます。「ゆっくりと話しなさい」「落ち着いて」という言葉も、できれば避けたほうが良いでしょう。より焦る可能性があるからです。日常的にできることは、「ゆっくりと聞くようにすること」です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます