Q. 向精神薬って何ですか? 抗精神病薬とは違うのでしょうか?

【薬学博士・大学教授が解説】「向精神薬」と「抗精神病薬」は、響きが似ていて紛らわしいのですが、別のものです。向精神薬とは何か、抗精神病薬との違いについて、わかりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

Q. 向精神薬とは何ですか? 抗精神病薬と同じですか?

向精神薬とは

ニュースなどでもしばしば目にする「向精神薬」とは、結局何の薬を指すのでしょうか?


「向精神薬」という言葉を報道などで耳にすることがあると思いますが、実際に正しく理解できている方は少ないようです。「抗精神病薬」と混同している例も見かけます。向精神薬とは何か、抗精神病薬との違いについて、わかりやすく解説します。

Q. 「『向精神薬』という言葉を聞きますが、これは精神科で処方される薬のことでしょうか? 抗精神病薬とは違うものですか?」
 

A. 「向精神薬」は精神の薬の総称! 「抗精神病薬」は向精神薬の一つ

精神科で用いられる「向精神薬」と「抗精神病薬」は、ともに脳の神経に作用して精神を変化させる薬です。響きが似ているので、混同している人も多いかもしれませんが、別のものです。

「精神」とは、一般的に人間独特の理性を伴った「心」の働きのことで、脳の働きによって成り立っています。

広い意味での「向精神薬」とは、精神に「向かう」薬、つまり精神(脳)に働きかける薬すべての総称です。具体的には、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬、ADHDの治療薬、中枢興奮薬、鎮痛薬などが向精神薬に含まれます。法制上の「向精神薬」は、「麻薬及び向精神薬取締法」で規制されている対象の薬だけを指します。

一方の「抗精神病薬」は、精神病に伴う症状を抑える(抗する)ものです。主に統合失調症の治療に用いられる薬を指します。つまり、抗精神病薬は、向精神薬の一つです。また、稀に「“抗”精神薬」という表記を見かけますが、これは誤記で、そのような薬はありません。

例えば「向精神薬を服用している」という情報だけがあったとしても、どのような不調に悩んでいるのかまではわかりませんので、憶測で考えないように注意が必要です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます