Q. 向精神薬とは何ですか? 抗精神病薬と同じですか?
ニュースなどでもしばしば目にする「向精神薬」とは、結局何の薬を指すのでしょうか?
「向精神薬」という言葉を報道などで耳にすることがあると思いますが、実際に正しく理解できている方は少ないようです。「抗精神病薬」と混同している例も見かけます。向精神薬とは何か、抗精神病薬との違いについて、わかりやすく解説します。
Q. 「『向精神薬』という言葉を聞きますが、これは精神科で処方される薬のことでしょうか? 抗精神病薬とは違うものですか?」
A. 「向精神薬」は精神の薬の総称! 「抗精神病薬」は向精神薬の一つ
精神科で用いられる「向精神薬」と「抗精神病薬」は、ともに脳の神経に作用して精神を変化させる薬です。響きが似ているので、混同している人も多いかもしれませんが、別のものです。「精神」とは、一般的に人間独特の理性を伴った「心」の働きのことで、脳の働きによって成り立っています。
広い意味での「向精神薬」とは、精神に「向かう」薬、つまり精神(脳)に働きかける薬すべての総称です。具体的には、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬、ADHDの治療薬、中枢興奮薬、鎮痛薬などが向精神薬に含まれます。法制上の「向精神薬」は、「麻薬及び向精神薬取締法」で規制されている対象の薬だけを指します。
一方の「抗精神病薬」は、精神病に伴う症状を抑える(抗する)ものです。主に統合失調症の治療に用いられる薬を指します。つまり、抗精神病薬は、向精神薬の一つです。また、稀に「“抗”精神薬」という表記を見かけますが、これは誤記で、そのような薬はありません。
例えば「向精神薬を服用している」という情報だけがあったとしても、どのような不調に悩んでいるのかまではわかりませんので、憶測で考えないように注意が必要です。