Q. 記憶力を鍛える方法はありますか?
記憶力は鍛えられる?
書店や広告などでも「記憶力」に関するたくさんの情報を見かけます。それだけ「記憶力を鍛える方法」や「記憶力を上げる方法」に関心がある方が多いのでしょう。記憶力は実際に鍛えることができるのか、脳科学的な見地からわかりやすく解説します。
Q. 「記憶力が悪いので、記憶力がいい人がうらやましいです。記憶力が高まる食べ物やトレーニング法などを見かけますが、脳科学的に見て、記憶力は鍛えられるのでしょうか?」
A. トレーニングで記憶力はあがりませんが、脳の健康を保つには有効です
物事を効率よく覚えるにはコツがあります。自分に合った覚え方のコツをつかめば、上手に記憶できるようになるかもしれません。しかし、毎日記憶力を上げるためのトレーニングのようなことをしたからといって、本来の記憶力自体が超人的に高まったり、脳の働きが著しくよくなったりすることは、残念ながらありません。「記憶力を上げる」といった脳のトレーニング法の多くは、簡単な計算問題やパズルなどを繰り返すことで、脳全体の力を上げようとしています。しかしこの方法では、同様の計算やパズルは早く解けるようになっていきますが、人の名前の暗記まで得意になるわけではありません。野球を一生懸命練習したからと言って、サーフィンもできるようになるわけではないのと同じです。記憶力をよくするサプリなどの食品も、残念ながら効果は期待しない方がよいでしょう。
また、記憶力がよすぎるのも、いいことばかりではありません。一瞬見ただけの情景が写真のように脳に焼き付くとか、一度読んだ本のすべてが記憶されるといった、並はずれた記憶力を示す人もいますが、記憶力と引き換えに認知力が妨げられて、生活に支障が出てしまうケースもあります。また、嫌な記憶がいつまでも鮮明に残ることで、記憶に苦しめられてしまうこともあります。人間が生きていく上で、記憶力は必要最低限あれば、ちょうどいいのです。
記憶力が衰えないように維持したいのなら、快食快眠の規則正しい暮らしとともに、悩み事やストレスのない暮らしを心がけましょう。脳の健康を保つ目的で、脳のトレーニングなどを楽しむのもよいかもしれません。心身の健康を保つことが一番大切です。