脳科学・脳の健康

Q. 病気が原因で、犯罪行為をしてしまうことはあるのでしょうか?

【脳科学者が解説】万引きや痴漢などの犯罪行為は許されることではありません。しかし、本人の人格・性格に関係なく、反社会的・非道徳的な行動を取ってしまう病気もあります。わかりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

Q. 病気が原因で、犯罪行為をしてしまうことはありえますか?

病気が原因の犯罪にはどのように対処すべきか

病気が原因の犯罪にはどのように対処すべきか

著名な人や、社会的にも地位のある活動をしていた人が、万引きなどの犯罪行為で捕まったと聞くと、びっくりしてしまうと思います。中には、病気が関与しているかもしれないケースもあるようです。わかりやすく解説します。

Q.  「人格者だと思っていた人が万引きで捕まったという話を聞き、びっくりしました。モラルも高い人で、悪びれずに犯罪行為をするとはとても思えません。何かの病気が原因ということは考えられますか?」
 

A. 本来の性格に関係なく、反社会的な行動をしてしまう病気はあります

万引きなどの犯罪行為の背景には、本人にしかわからない動機や事情があるかもしれませんので、すべてが病気のせいとは言えません。

しかし、このような反社会的な行動をしてしまう病気は、実際にいくつかあります。代表的なものの一つとして、脳の病気である「ピック病」が挙げられます。ピック病とは、「ピック球」と呼ばれる異常な物質が、大脳の前頭葉と側頭葉の神経細胞内に現れ、脳が委縮してしまう病気です。原因はまだ明らかになっていません。

前頭葉は、感情のコントロールや理性などを司っている部分です。そのため、この機能が阻害されると、本来の人格・性格には関係なく、自己中心的・反社会的・非道徳的な行動を取ってしまうことがあります。

この病気の場合、残念ながらまだ治療法がありません。ご家族や身近な方が正しく監督を行ったり、地域や周囲のサポートを受けたりして、本人の再犯を防止することも必要です。
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