日本は欧米諸国と比較して圧倒的に「女性」「若者」が“政治的弱者”?
日本ではなぜ若者の政治家が少ないのでしょうか。その理由はどこにあるのでしょうか。また、若者の政治家が少ないことで、国や社会にはどんな問題が起きるのでしょうか。それらについて今回は考えていきます。
「中高年の男性」が大半の日本の政治家
まず日本の政治における残念な点について触れておきます。日本の選挙では、政策や人物で判断されることは少なく、政党に支援(所属または公認)された候補が、圧倒的に有利な条件で戦います。「地盤(組織)・看板(知名度)・鞄(資金)」という、選挙で勝つために必要なものを与えられるからです。その多くは中高年の男性となっています。
今回改選を迎えた6つの政令指定都市の首長選も、当選者6人は全て男性で、70代が1人、60代が2人、50代が2人、40代が1人でした。
芦屋市ではなぜ「20代の市長」が誕生した?
そんな日本において、芦屋市ではなぜ26歳の高島氏が市長に当選できたのでしょうか。もちろん高島氏本人に魅力があったことは最も大きな理由ですが、少し視野を広げることで見えてくるものがあります。過去3代の芦屋市長は、順に62歳女性、56歳男性、49歳女性というように、3人中2人が女性でした。若者が市長になった理由を考える中でなぜ女性に注目するかというと、日本において「女性」は「若者」と並んで「政治的弱者」という共通点があるからです。
芦屋市ではそんな政治的弱者が直近の4回の市長選で3回当選していることから、政策や人物で判断をする素地のある地域であると見ることができます。このような自治体はレアケースで、日本の大多数の地域では若者や女性が苦戦するのが常です。
若者が出馬できない日本の選挙制度
日本で若者が政治家になるのが難しい理由には、日本の選挙制度の問題もあります。日本では選挙権こそ18歳に引き下げられましたが、出馬資格を得る年齢(被選挙権)は衆議院議員と市区町村長、地方議員は25歳、参議院議員と都道府県知事は30歳です。諸外国では、選挙権が18歳の国の大部分は、被選挙権も18歳となっています。
各国議会に関する情報を調査しているIPU(列国議会同盟: Inter-Parliamentary Union)のデータによると、「30歳以下の国会議員の割合」は、ノルウェーで13.61%、ドイツで8.83%、スウェーデンで6.59%、フランスで4.85%、イギリスで3.69%と、数%から十数%を占める国もありますが、アメリカでは0.46%、日本は0.22%、韓国は0%と、1%にも満たない数字となっています。
前者の国々の被選挙権年齢が18歳であるのに対して、後者の「30歳以下の国会議員の割合」が1%に満たないアメリカ、日本、韓国では、被選挙権年齢が25歳と、若者の出馬に他国よりも高い制限を設けているのです。 さらに、ここに「女性議員割合」も加えて比較してみると違いがより明確になります。
「女性議員割合」が欧米は軒並み30~40%台であるのに対し、韓国は19%、日本はたった10%。この2カ国が現在、深刻な少子化に襲われているのはご存じの通りです。「若者」や「女性」が政治に参画できない国は、人口が減り、やがて滅びゆく運命にあるとも見えてきてしまいます。
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