Q:年金の受け取り額は一生変わらないんですか?
「年金の『受け取り金額』は、一度決まったら、一生涯変わらないのでしょうか? それとも毎年変わりますか?」(60歳)公的年金の受給額は一生涯変わらないの?
A:公的年金の受給額は、毎年度、年金額の改定(見直し)があります
公的年金の受給額は、毎年度、年金額の改定(見直し)があります。改定は法律の規定によって決定されています。たとえば、賃金変動率がマイナスで、手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、年金を受給し始めるときの年金額・受給中の年金額の両方とも、賃金変動率を用いて年金は改定されます。
また賃金や物価による改定率がマイナスの場合には、マクロ経済スライドによる調整は行わないこととされていますが、プラスに時にはマクロ経済スライドの調整が行われます。
※マクロ経済スライドとは
マクロ経済スライドとは、平成16年の年金制度改正で導入されたもので、賃金や物価の改定率を調整して、緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです。将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう、最終的な負担(保険料)の水準を定めて、その中で保険料等の収入と年金給付等の支出の均衡を保つために、マクロ経済スライドは実施されます。
2023年度(令和5年度)の改定は、「2022年度(令和4年度)から原則67歳以下の人は、2.2%引き上げ、68歳以上の人は1.9%の引き上げ」でした。この改定は、総務省から「令和4年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)として公表されたものを踏まえ、マクロ経済スライドによる調整は▲0.3%、賃金変動率+2.8%をもとに年金額が上がることになりました。ちなみに、2022年度(令和4年度)は変動率がマイナスでしたので、年金受取額は2021年度より下がりました。
以上のように、年金額は毎年度改定(見直し)されて、マクロ経済スライドが発動される可能性もあるので、受け取り額は変わることがあります。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)