SNS上では、「転売ヤーは無事に買えるのはなぜ?」「CHANELのミラーほしかったな……なんでいつも転売ヤーが買えるんだろう」「転売ヤーは本当にいなくなってほしい」など嘆きの声が……。
そもそも転売とは何か、また、転売の違法性について、法的観点から弁護士である筆者が解説します。
「転売ヤー」によって一般消費者に影響も……
そもそも転売とは、買い取ったものを、さらに他に売り渡すことを言います。一般的には、定価で購入したものをフリマサイト等で定価以上の金額で売ることがイメージされるでしょう。買い取ったときの値段よりも高い値段で売り渡すことができれば、その差額が利益となります。差額が大きければ大きいほど利益も大きくなるため、転売をする人は、需要が高く供給が少ないものを売る傾向にあります。近年、転売をする人(転売ヤーや転売屋とも呼ばれることがあります)により、一般の消費者が商品を購入しにくくなったり、商品の値段が高騰しすぎたりするなどの問題が生じています。
転売は違法?
なお、転売そのものは違法ではありません。転売自体が違法となると、一般の消費者がフリマサイトなどを利用して不要になった物を売ることも違法になってしまいます。もっとも、商品によっては、販売・転売が法律等により規制されており、当該規制に違反した場合には、罰せられる場合もあります。
例えば、チケット不正転売禁止法により、反復継続の意思を持って、興行主等の販売価格を超える価格でチケットを転売することは違法になることがあります。その場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
その他にも、ブランド品の模倣品や、日本で輸入規制がある物品(拳銃、麻薬等)の転売は禁止されています。また、医薬品や食料品など、販売に許可が必要な物も、許可なく転売することは違法になります。
転売ヤーが得をして本当に欲しい人は損をする理不尽
近年、フリマサイト等が身近になり、利用する人も増えています。前述のように、基本的には自分の所有物をフリマサイトで販売することは適法です。しかしながら、チケットや医薬品、タバコに食料品と、その販売が規制されている物も数多くありますので、注意が必要です。また、許可なく反復継続して中古品を販売すると古物営業法違反になる可能性があります。転売目的で買った物を営利目的でフリマサイトで販売するような場合は、古物商の許可を取得するようにしましょう。
なお、欲しいものが転売ヤーに買い占められ、定価よりも高い価格でフリマアプリに出品されているのを見ると憤りを感じますよね。転売ヤーは定価で買えたのにもかかわらず、本当に欲しがっている自分は定価以上を出さないと買えず、転売ヤーがその利益を得ることになるわけです。理不尽に感じて当然だと思います。
経済活動は自由であるべきですが、転売ヤーの権利が手厚く保護されるべきかといったら個人的には疑問です。
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