ChatGPTに「転職活動」「面接対策」を相談! 人材コンサルが検証してみた結果は?
検索エンジンでは、調べたことに関連した内容を含んだサイトがリスト化されるが、そのリストを自ら一つひとつ確認して適切な情報を選ぶ力が求められる。一方、生成系AIは知りたいことを質問すれば的確な回答をしてくれる。積極的に使用するには注意すべき点もあるが、さまざまな知的創造活動に影響をもたらしそうだ。今回は、転職活動に生成系AIを生かせる部分はあるのか、人材コンサルが解説する。
ChatGPTは「考えるべきポイント」を整理してくれる
生成系AIには、得意なことと苦手なことがある。まずは仕組みを簡単におさらいしておこう。生成系AIは、インターネット上に存在する既存の文章や画像イメージを大量に機械学習する。そのデータを手掛かりに試行錯誤を繰り返して、一定レベル以上の品質の文章や画像を生成する。つまり、「既存」のデータがベースとなるので、存在しない新しいものを作り出すことは原則できないことになる。個人的な質問には、その具体的な悩んでいる状況を提供しなければ生成系AIは答えることができないということだ。
例えば、「私は転職すべきでしょうか」というざっくりとした相談をした場合、あなたがなぜ転職したいと思っているのか、その具体的な情報を提供しない限り、生成系AIから的確なアドバイスはもらえない。代わりに以下のような回答を受け取ることになる。
転職するべきかどうかは、個人の状況や目標、価値観によって異なります。以下に、転職を検討する際に考慮すべきポイントをいくつか挙げておきます。
1. 現在の仕事に不満があるかどうか
2. 新しい職場での成長やキャリアアップの可能性
3. 給与面や福利厚生、労働環境の改善
4. 将来の展望や目標に合致するかどうか
この回答は、もちろんあなたが転職すべきかどうかの直接的な判断をしてくれたものではなく、あなたが転職するかどうかを考える際のポイントを整理してくれただけである。自分の考えがうまく整理できないことは誰にでもあるから、あまり詳しい個人的な事情を情報としてあえて生成系AIに提供しないで、このようにあいまいに問いかけてみるのも一つの手かもしれない。
ちなみに、あなたが個人的にChatGPTのシステムに送った質問の文章も、ChatGPTに蓄積され、生成系AIに学習される可能性がある。つまり原理的に言えば、あなたが個人的な事情に関する情報を提供すれば、それを他者が引き出す可能性があることに注意が必要である。この点で、生成系AIには秘密厳守のルールはないから、転職相談をするにも限界はあるだろう。
ChatGPTで「模範解答」を確認した上で独自の対策を考える
自分のキャリアに悩みを抱えている人は多い。例えば、転職回数が多いと不利なのかと、気になる人は多いだろう。ChatGPTは、このことにどのような回答を出すだろうか。模範解答を示してもらおう。転職回数が多いと、転職に不利になる可能性があります。転職回数が多い場合、以下のようなマイナスのイメージが与えられることがあります。
1. 安定性に欠けると見られる
2. スキルが浅いと見られる
3. コミュニケーション能力が低いと見られる
以上のようなマイナスのイメージがあるため、転職回数が多い場合は、応募先の企業に自分自身の転職理由や志向を十分に説明し、信頼感を得ることが重要です。また、転職理由については、具体的かつ誠実に説明することも重要です。
なるほど、そういうことかと納得した人もいるだろう。人材コンサルタントから見ても、ある程度同意できる回答である。不安に思っていたことを、このようにはっきりと文章化してもらえれば、次の一歩への手立てをすぐに考えることができるのではないだろうか。
どんなに悩んでも自分の転職回数が減ることはない。悩むよりは「安定性に欠ける、スキルが浅い、コミュニケーション能力が低い」などが、面接官が転職回数の多い人に対して持ちがちなマイナスイメージであると早々に納得し、どうしたらそう思われないか、独自の対策を考えてみればいいことになる。
もちろん、ここで再度ChatGPTに意見を求めてもいいが、転職活動では他者とは違う独自の視点や自分ならではの経験に基づいたエピソードなどを話すことが大切であるため、ここから先は自分で考えてみることを、人材コンサルタントの立場からはおすすめしたい。