非常時に備えてできるだけ多く準備した方がよいけれど……
非常時、といえる突発的な出来事、突然の出費に備えてお金を貯めている人はいます。とはいえ、現状では、多くの人はただ何となく貯めているのではないでしょうか。その理由としては、非常時がイメージしにくいというのが最大の理由となります。
非常時に備えて準備する貯金額は、できるだけ多いと安心ではありますが、そう簡単にまとまったお金を貯めることはできません。
家族構成、借入金の有無などで貯める目安は変わる
そこで、目安として考えてほしいのが、家族構成や自分の置かれている環境によって準備する方法です。家族構成や生活環境や借入金の有無によっても準備しておくべき金額は変わってきます。また、非常時として病気になった場合を想定してみます。今回は子どもがいる場合とシングルの場合、2つのケースについて、貯めておくべきお金の考え方や費用の算出法について解説します。
【1】子どもがいる家庭の場合
この場合の子どもは、学校に通い、学費が必要な子どもとして捉えてください。一家の大黒柱が病気で働けなくなったときには、収入が途絶えてしまう可能性があるため、一家の大黒柱が働かなくても1年間暮らせるだけの金額を準備すると安心です。1年分が無理な場合には、少なくとも6カ月分を準備しておくと安心です。
「1年間暮らせるだけの金額」の算出方法はシンプルで、まず1カ月分の日常生活費・学費・ローン・家賃などを合計し、その金額をもとに6カ月分~1年分に換算するというものです。
共働き世帯の場合なら、夫婦どちらかの収入を貯蓄として貯めていけばいいでしょう。もし不要な保険に加入している場合には、見直して貯蓄を増やしていきましょう。
【2】シングル家庭の場合
いわゆる一人暮らしの人の場合は、自分が働けなくなったことを想定して、6カ月分程度を準備してください。6カ月分の資金が準備できないときは、少なくとも3カ月分は準備しておくと安心です。
必要な金額は、家族と暮らしている人と同じように、日常生活費やローン、家賃などの1カ月分を合計し、それを3カ月分~6カ月分に換算して算出します。
なお、一人暮らしシングルの場合、入院などをすると、電気代やレジャー費などの生活費は一時的に下がることもありますが、収入も減ります。シングルの場合はイザというときの保険はきちんと確保しておきましょう。特に貯金が少ないシングルは、医療保険にも入っておきましょう。病気やケガの状況にもよりますが、医療保険に加入して保険金がもらえる場合には、準備しておく貯金は少なくすみます。
非常時に備えて準備するお金は、一般的な金額を参考にしてもよいのですが、家族構成や働き方、ローンの有無などは一人ひとり違っています。自分の場合はいくら必要になるのかを考えて、準備することが大切です
非常時の資金の準備をする上での注意
ここではシングルと子どもがいる家庭のみで話しましたが、いつ、どのような状況でお金が必要になるのか、誰にも分かりません。そこで、非常時の資金は、元本割れをしない、かつ現金化しやすい金融商品で運用するのがベストです。具体的には、普通預金や積立定期預金や定期預金を利用して、毎月貯めていくとよいでしょう。もし保険に加入していない場合には、医療保険や死亡保険など、必要な保険に加入することも考えてみましょう。
これから住宅ローンなどを組む場合には、疾病保障をつけられるローンなども検討を。その理由としては、所定の条件を満たしたときには、住宅ローンの残高が0円になることがあるからなのです。
非常時の資金計画をすると、今の生活の見直しにもなります。もし貯金が十分あり、加入している保険の保障が大きすぎると感じているなら思い切って減額や解約をすることも検討しましょう。その分、運用や貯蓄に回すこともできます。その他、無駄遣いの防止にも一役買ってくれることもあるようです。