日本の寺には宗派が多い

日本の寺には、宗派がたくさんあります。宗派によって考え方やお経、祀る仏像も違います。はじめのうちは、あまり区別がつかないと思いますが、お寺めぐりを続けているうちに、宗派による違いがわかってきます。また、そこからどんな歴史のある寺なのかもわかるので、お寺を訪ねたら、まず、その寺がどの宗派に属するかを確認することが大切です。

宗派について説明するにはたくさんの情報を必要としますので、ここではごく簡単に特徴だけ述べます。例外も多々ありますので、あくまで基本的な目安としてお読みください。

東大寺などの奈良の古い寺は、奈良仏教独特の宗派です
1.奈良の古い寺
日本で宗派による違いがはっきりしたのは平安遷都以降です。それ以前から奈良にあった古い寺、法隆寺、薬師寺、唐招提寺、東大寺などは、奈良仏教と呼ばれるいくつかの宗派に属します。

それらは、平安時代以降、全国的に広まることはなかったため、ほとんど奈良独特のものです。

京都の仁和寺は、真言宗御室派の総本山です
2.密教系
平安京ができるころ、最澄と空海が中国に行き、それぞれ、天台宗と真言宗を伝えました。この二つの宗派は、仏教に、それまでインドにあったヒンズー教などの要素を取り入れた密教というものが基本になっています。

密教の寺は、一般に、仏像の種類が多く、お寺の造りも派手なところが多いです。また、密教では現世利益もある面では肯定されるため、さまざまなご利益がある寺が多いのも智特徴です。護摩などのご祈祷も行われます。

埼玉県太陽寺は臨済宗の寺。伝統的な精進料理の朝食が食べられます
3.禅宗系
鎌倉時代に開かれた臨済宗、曹洞宗、江戸時代に伝わった黄檗宗の三つがあります。いずれも坐禅を修行の基本としています。一般の人向けに簡単な指導をしてくれる寺もあります。

また、料理を作る、食べるなど日常のさまざまな行為も修行とみなすため、基本的な精進料理を出してくれる寺も多いです。

お寺は比較的シンプルな形をしており、美しい庭園があるのも特徴です。

4.浄土系
鎌倉時代に開かれた浄土宗、浄土真宗などです。どちらも阿弥陀如来にお参りして極楽成仏を願うのが基本で、「南無阿弥陀仏」という念仏を唱えます。宗派の中ではもっとも庶民に浸透したもので、浄土真宗は、現在、日本で一番信徒数が多いです。この場合の信徒とは、自分の家の菩提寺が浄土真宗に属している人、という意味です。

浄土系の寺は、仏像の種類は密教系ほど多くありませんが、造りは派手なことが多いです。

5.法華系
鎌倉時代に日蓮によって開かれた宗派です。法華経というお経を基本とし、「南無妙法蓮華経」というお題目を唱えます。この宗派は京都の町衆(商工業者)の間で広まったため、本阿弥光悦や尾形光琳などの芸術家も法華宗の信徒でした。(それらの芸術家はもともとが町衆出身である)

そのため、現在でも、京都の西陣などに行くと、法華宗系のお寺がたくさんあります。西陣は着物職人の街だからです。

法華系のお寺では、お堂の真ん中に開祖、日蓮聖人の像が祀られていることも多いです。冬の間、この日蓮像には、よく、白い綿帽子がかぶせられています。日蓮聖人は、襲われて額に怪我をしたことがあるため、その古傷が痛まないようにと、帽子をかぶせるのです。あたたかくなると、その帽子は取られます。